研究実績の概要 |
現在肝硬変の評価には血液検査や超音波検査(US:fibroscan)が行われ、最終的には肝生検により確定診断が行われる。一方近年のMRI の進歩によりintravoxel incoherent motion diffusion-weighted imaging (IVIM-DWI)が可能となった 。IVIM-DWIは非侵襲的・客観的に細胞レベルで水分子の拡散・潅流を画像化するものであり、肝繊維化とIVIMパラメーターの比較検討では両者の関連性が報告されている1)。本研究の目的はIVIM-DWIによる肝硬変の評価を行い、従来の他の指標(fibroscan、肝繊維化マーカー)と比較、その有効性を検討することである。対象は2019年10月から2021年5月までに文書にて同意が得られた26症例を対象とした。このうち3例は体動などにより画質が不十分であるために除外し、23例を解析対象とした。男性7例、女性16例、平均年齢は56.6±11.4歳であった。Fibroscanの肝硬度指標であるVCTE, 肝繊維化指標であるType4 collagen, M2 GPI, P3P, FIB-4 index, そしてIVIM-DWIの指標であるF IVIM, D*, D 値を多変量解析にてその関連性を解析した。その結果、fibroscanや肝繊維化マーカーとF IVIM, D*の間には弱い相関関係が認められ、性別が交絡因子である可能性が示唆された。IVIM-DWI単独で肝硬変の指標とするのではなく、他の線維化マーカーやfibroscanと総合的に評価する必要があるものと思われたが、今回はCIOVID-19感染症の影響により十分な症例数を得ることが出来なかった。今後は症例数をさらに増やして検討する必要があるものと考えられた。
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