○研究目的 本研究では、新学習指導要領実施に向けて、中学校理科の火成岩の学習における、主体的・対話的で深い学びを実現する授業プログラムの開発と、その効果について検証することを目的とした。 ○研究方法 本研究では、「火山の映像教材と標本」、「溶岩流モデル実験」、「タブレットPC用簡易型偏光装置」、「火成岩分類シート」などの教材を作成した。さらに、生徒の実態把握のための調査を行い、各教材の活用方法だけでなく、発問内容や授業展開などを含む授業プログラム全体を構築し、授業実践した。授業プログラムの学習効果の検証は、生徒のワークシートの記述や事後アンケートなどをもとに行った。また、研究成果は各種学会・研究会などで発表し、教材に関しては学校現場で活用できるように活用方法とサンプルを可能な限り説明・配布した。 ○研究成果 火山の学習の導入場面において、教師が作成した映像や標本を用いると、生徒の学習意欲を高めることができた。また、溶岩の粘性と火山の形や活動様式を関連づける場面において、実際の溶岩に近い食品(水あめ)で粘り気を定量的に分析する経験をさせると、粘り気に関する正しい認識の獲得を促すことができた。さらに、火山岩と深成岩の組織の違いを見出す場面において、ルーペとタブレットPC用簡易型偏光装置を併用すると、色や光沢といった標本表面の様子よりも、鉱物の様子に着目させることができた。そして、6種類の火成岩を分類する場面において、火成岩分類シートを用いると、分類及び結果を交流する場面で著しく対話が活性化し、生徒から分類の視点を導くことができた。 このように実験・観察が少ない火成岩の学習において、新たにICTを活用したモデル実験と教材を提案できたことは意義深い。さらに、生徒理解を軸に各教材を有機的に組み合わせた授業プログラムの開発は、火成岩の学習における、主体的・対話的で深い学びを実現するための一助となった。
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