本研究は、小学校理科の問題解決における仮説設定の場面に着目し、その評価手法と指導方法を開発することを目的とした。 目的を達成するために、①仮説設定の評価に関する先行研究の収集・分析、②仮説設定の能力を評価する調査問題の作成と妥当性の検証、③指導方法の考案と効果検証の手順で研究を進めた。①では、仮説設定に関する先行研究を収集し、国内外の動向を比較しながら研究の現状を整理することで、これまでに明らかになっている点と課題を明確化した。②では、先行研究を理論的基盤とし、仮説設定の能力を評価する調査問題を作成した上で実態調査を行った。そして、調査の結果を量的・質的に分析することを通して、調査問題の妥当性を検証した。③では、①②の成果やこれまでの先行研究を踏まえ、仮説設定の指導方法を考案・検証した。 研究の結果、①の研究より、先行研究における仮説設定の評価方法は4つに分類でき、それぞれに長所と短所があることが明らかになった。また、②の研究より、仮説設定に関わる4つの能力を評価する問題が開発された。開発された問題を用いた実態調査からは、学年進行とともに仮説設定に関する能力が向上することや、仮説設定に関する能力には特定の苦手パターンが存在することが明らかになった。加えて、③の研究より、仮説設定の思考過程を切り分ける指導方法が有効であることが示唆された。 一連の研究を通して、小学校理科における仮説設定の評価方法を開発するとともに、仮説設定場面における指導方法を開発することができた。
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