高専教育の質保障の方策として単位の取得だけではなく、学習者が何らかの学びを習得する毎に細分化された能力や技能を個々に認める手段である「マイクロクレデンシャル」としてデジタルバッジを授与し、勉強への外発的動機付けの効果を検証しようとした。 デジタルバッジはPNGファイルフォーマット形式で制作する。このフォーマット中にチャング呼ばれるデータ埋め込み要素があり、この中に受講者が獲得した学びに関する情報をテキストデータで埋め込むことができる。デジタルバッジの授与にはチャンクに学修成果情報を埋め込んだデジタルバッジを生成するための発行システムが必要である。このために米国のMozillaプロジェクトによるオープンソースのプログラム群が提供されていて、それを頼りに作業を進めたが成功しなかった。理由はこれらのプログラムが動作する前提環境としてのサーバサイドJavaScript環境であるnode. jsを必要とするが、古いバージョンのnode. jsで動作するよう開発されていて長い間メンテナンスされておらず、最新のnode. js環境で動作させるための互換性問題を解決できなかった。仕方なく有償の海外オンラインサービスにおけるバッジ発行サービスを無償プランの制限内で活用して学修成果認定におけるバッジの発行を研究協力教員と共にテストした。このサービスを利用することでデジタルバッジの発行から獲得者による公開までオンラインでできるようになったが無償プランによる制限から一度に発行できるバッジが50個までであるとか、組織名での発行ができず個人名での発行になってしまうであるとか、バッジに埋め込めるテキストデータが1バイト表記になることから、成果証明内容がすべて英語表記になるであるとかの制限が付いてしまったものの、約120名の学生が履修した授業科目で、複数の授業科目における成績得点に応じたバッジと個別成績に応じたランキングバッジを授与し、そのことを学校の掲示板で公開した。学生達はデジタルバッジを授与されるのは初めてで、なおかつ日本国内ではこの方法による学修成果証明はほとんど実施されておらずデジタルバッジがどのように機能するものなのかの学生達の理解は薄かったようだが、学生達にアンケートを採ったところ、約70%弱の学生が学修成果証明をデジタルバッジの形で授与されたことを嬉しいと感じると回答した。
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