研究課題
奨励研究
1、研究目的 : 婦人科悪性腫瘍の中でも格別予後不良ながん種である卵巣がんは、腹膜転移易形成、並びに抗がん剤獲得耐性化を起し、現行の治療法では完治が望めない状況にある。一方、プラズマを治療デバイスに利用しようとする試みは、年々増加しており、既に我々のグループでは、低温プラズマを照射した培養液のみならずリンゲル液にもその抗腫瘍効果を見出しており、卵巣がん腹膜播種に対する新規治療法としての可能性を示した。本効果は、プラズマから生成される活性種が主な要因であることが明らかにされてきているが、プラズマにより生成した種々の活性種に対する生体応答性の詳細は明らかにされていない。そこで本研究課題において、細胞にプラズマストレスを与えることで誘導される変化を詳細にとらえ、プラズマストレスによる腫瘍制御機構を明らかにし、新規治療技術開発につなげることを目的とした。2、研究方法 : 本研究で用いたプラズマデバイスは、プラズマ照射雰囲気及びフローガスの組成を自由に制御することが可能である。つまりプラズマにより生成される活性種の種類や割合を変化させることができ、様々な特徴を持ったプラズマ活性溶液が作成可能である。そこでフローガスの組成や比率を変えて作成したプラズマ活性溶液が卵巣がん細胞に対し、どのような抗腫瘍効果を示すか、さらに、それらのプラズマ活性溶液中の活性酸素・窒素種(RONS)の濃度について詳細な解析を行い、活性種と抗腫瘍効果の関連性を詳細に検討した。3、研究成果 : フローガスに混合した反応性ガスの種類や混合比の違いにより、プラズマ活性溶液中に生成されるRONSの種類や濃度が異なることを見出し、異なる抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。即ち、反応性ガスを制御することで、目的とする効果が得られるプラズマ活性溶液の製造が可能になることが示唆された。
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