研究課題
奨励研究
ベックウィズ・ヴィーデマン症候群(BWS)は、ゲノムインプリンティングの異常によって発症する先天性疾患で、約50%の患者は、母性アレルのインプリンティング制御領域2(ICR2)のDNA低メチル化で発症する。これまでに、ICR2を含む広範な領域が欠失したBWS症例が数例報告されているが、我々がもつICR2自体は保存されていて、近傍の広範な領域が欠失し低メチル化を示す症例に着目した。この欠失は母親由来であり、ICR2近傍の欠失領域に卵形成過程でメチル化獲得に重要なエレメント(DNA配列)が存在することを強く示唆している。そこで、ヒトの欠失領域に相当する領域を欠失させたマウス(Δelmマウス)を作製し、ICR2のメチルを解析することで、ICR2の低メチル化の原因を明らかにすることを目的とした。①Δelmマウスの作製 : CRISPR-Cas9システムを用いて、ヒトの欠失領域に相当するマウス領域100キロベースを挟むように2種類のガイドRNAをデザインし、ガイドRNAとCas9タンパクを受精卵に注入した。この受精卵を仮親に移植することでΔelmマウスを得た。CGHアイクロアレイ解析により目的の100Kキロベースが欠失していることを確認した。②ICR2のメチル化解析 : ICR2は卵形成過程でメチル化されるため、雌のΔelmマウスと野生型雄を交配させ、ΔelmF1マウスのICR2のメチル化状態をbisulfite-pyrosequencing法で解析した。その結果、同腹の野生型マウスとメチル化状態は変わらなかった。③Cdknlc遺伝子の定量的発現解析 : ΔelmF1マウスを用いて、ICR2に制御されているインプリント遺伝子Cdknlcの発現量を定量RT-PCRで解析したところ、同腹の野生型マウスと発現量は変わらなかった。以上の結果から、今回マウスで欠失させた100KキロベースにICR2低メチル化の原因となるメチル化獲得エレメントは存在しないことがわかった。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Epigenetics & Chromatin
巻: 11 号: 1 ページ: 28-28
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Clin Epigenetics
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