○研究目的 : がんをはじめとする各種疾患においてmiRNAの発現変動が報告され、それらmiRNAの一部はCYPの発現量や酵素活性を低下させることがin vitroで証明されている。本研究では、がん患者を対象に、がん悪液質の進行によるmiRNAの発現変動を評価し、さらに、miRNAの発現量とがん性疼痛に対する標準的治療薬であるオキシコドンの体内動態との関係を明らかにすることを目的とした。 ○研究方法 : 浜松医科大学病院において、オキシコドン徐放錠の内服を開始した56名のがん患者を対象とした。がん悪液質の進行度は、Fearonらの国際基準を用い、前悪液質、悪液質および不応性悪液質に分類した。定常状態におけるオキシコドンとその代謝物の血中濃度を評価するとともに、miRNA-27b、miRNA-130b、miRNA-142の発現量を定量RT-PCRにより調査した。本研究は浜松医科大学の倫理審査承認を受け実施した。 ○研究成果 : 対象患者における悪液質の進行度は、前悪液質群で11名、悪液質群で33名、不応性悪液質群で12名であった。オキシコドンの血中濃度は悪液質の進行に伴い有意に上昇した。血中濃度比(ノルオキシコドン/オキシコドン)は悪液質の進行に伴い有意に低下したが、血中濃度比(オキシモルフォン/オキシコドン)に変化は認められなかった。また、miRNA-27b、miRNA-130bおよびmiRNA-142の発現量は悪液質の進行に伴い有意に低下したが、オキシコドンの血中動態との関係性は認められなかった。
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