研究実績の概要 |
〔目的〕 急性期脳卒中において血圧管理は大変重要であるが, 薬剤投与の是非は慎重に考慮する必要がある. 京都大学医学部附属病院(当院)脳卒中診療部(SCU)では, 急性期脳卒中患者における血圧管理において, カルシウム拮抗薬であるニカルジピンが汎用される. ニカルジピンの原液投与は静脈炎のリスクとなり, 添付文書上では希釈後投与する必要があると記載されている. しかし急性期脳卒中患者の場合, 輸液ラインを多数確保することは身体的負担がかかる可能性があり, 輸液ルートを増やしにくく, ニカルジピンを希釈せずに維持輸液の側管から投与することがある. ニカルジピンは酸性溶液であり, ニカルジピンと混合すると白濁等の配合変化を起こす輸液はいくつか報告されているが, これらのデータは直接混合の場合であり, 側管投与におけるデータは無く, 混合された輸液ルート内で配合変化が起きている可能性は否定できない. そこで本研究では側管投与の配合条件におけるニカルジピンと各種輸液との配合変化について調査することを目的とした. 〔方法〕 1. 配合条件の文献調査 各薬剤の添付文書, インタビューフォーム, 書籍や論文等を用いて配合の可否並びに配合条件を調査した. 〔結果〕 調査した結果, ニカルジピンと乳酸リンゲル液, 酢酸リンゲル液, ブドウ糖加酢酸リンゲル液の組み合わせでは配合変化が起こりやすいことが示唆された. 今後はニカルジピンをこれらの輸液に側管投与した際の配合変化について詳細に検討する必要があることが示唆された.
|