研究実績の概要 |
難治性骨折に対する副甲状腺ホルモン(テリパラチド : TP)製剤とビスフォスフォネート(BP)の協調効果を検討した. ラット難治性骨折モデルにおける低用量TPとBPの1種であるゾレドロネート(ZA)の協調効果を軟X線評価および脱灰・非脱灰標本における病理組織学的な評価を用いて検討した. TP(10μg/kg)とZA(0.1mg/kg)を併用療法は, それぞれの単独投与に比べ, 有意に仮骨形成の促進と仮骨量の増加, 骨癒合の促進につながることが示された. ここまでの研究成果を英文誌へ論文投稿した. さらに, TPとZAの協調効果が骨リモデリングに与える効果をより詳細に観察するため, ラットチャンバーモデル(両側脛骨内側にチタン製の筒状構造の中に移植骨を入れたボーンチャンバーを挿入)を用いて, 病理組織学的解析およびμCTによる微細構造の解析を行っている. Control群や単独投与群では骨組織に置換される前の未熟な軟骨細胞が多く確認された. 一方で, 併用投与群では軟骨細胞は確認できず, 仮骨形成の促進と仮骨量の増加を認めていた. これらの内容についても英文誌の投稿に向けて準備を進めている. これらの結果の臨床応用を考え, ラット骨粗鬆症モデルでの実験も開始している. 現在はモデルラット作成技術の習得とTPやZA, 運動療法が骨微細構造に与える影響を検討している段階である. 今後は骨粗鬆症を有した難治性骨折モデルや骨移植モデルにおけるTPやZAの協調効果を検討していく.
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