【研究目的】 近年のディジタル端末の普及によりオンライン署名の利用機会が急増し、科学捜査においてもオンライン署名照合の対策が求められている。しかし、従来のオンライン署名照合で用いられている大局的手法では、犯罪現場で顕著な署名の大局的変動、ノイズ影響の回避が困難であり、これらは照合性能低下の要因となっている課題があった。 そこで本研究は、オンライン署名のテンプレートマッチングにおいて、個人内変動を考慮した代表テンプレート生成法の構築を目指すことで、署名の大局的変動への耐性強化と高速化を同時に図りながら、オンライン署名照合の性能改善を試みた。 【研究方法】 本研究では、6つのパート(署名入力、前処理、特徴抽出、平均テンプレート生成、マッチング、結果出力)から構成されたオンライン署名照合のテンプレートマッチング法を新たに構築した。 具体的には、まず、入力署名の時系列データに対し、前処理、時系列データの特徴抽出後、学習データを用いて個人内変動を考慮した平均テンプレートを生成する。次のマッチングでは、平均テンプレートと入力署名間の比較にDynamic Time Warpingを適用し、その距離と閾値との大小により真筆・偽筆の結果を判定する。 【研究成果】 本提案手法の有効性を確認するため、実際に署名サンプルを用いて、関連手法との比較実験により有効性を評価したところ、本提案のオンライン署名照合法を適用することで、従来手法よりも性能面・運用面ともに有効な成果を得た。
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