研究課題
奨励研究
FMD感染流行モデル(FMDモデル)は、感染シミュレーションによる感染期間と被害頭数の傾向予測をする分析ツールとして知られているが、うまく使うと防疫判断のサポートツールとしても有効というのが従来の認識である。しかしその為にはモデリングやその前提条件に精通している必要があり、感染発生時の現場を取り仕切る自治体職員自らこの種の傾向分析を行い具体的な防疫策を下すことは困難という問題が、2010年に宮崎県で防疫活動を主導した担当職員らの発言で明らかとなった。そこで本研究では、この問題に対処するための防疫判断サポートシステムの開発を目的とし、FMDウィルス拡散状況の数値化である「飛散指数」の概念を疫学モデル(Keelingモデル)に基づき定義・導入し、飛散指数を「判別の閾値」とした各農場の感染の有・無を推定する手法を開発した。また、この手法を応用し、従来法では困難であった防疫予算と感染リスクとのトレードオフを考慮した防疫判断を可能にする方法を考案した。具体的には、防疫予算と感染によって生じる損失、即ち予算の都合で「感染しているにもかかわらず殺処分対象外となった農場」からの感染によって生じる損失とのトレードオフのバランス調整を、飛散指数による判別の閾値の応用である「防疫判断上の閾値」を適宜設定しながら実施する方法を考案した。本方法を2010年の宮崎県の口蹄疫の感染データー式に適用し、予算と損失のトレードオフの傾向分析ができる有用な手法であることを実験的に確認した。
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計測自動制御学会 システム・情報部門第66回DES研究会, 講演論文集
ページ: 11-14
計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会2019, 講演論文集
ページ: 98-101