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インターネット研究倫理の構築-倫理問題の考察と倫理ガイドラインの提案

研究課題

研究課題/領域番号 18H00608
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 小区分01010:哲学および倫理学関連
研究機関吉備国際大学

研究代表者

大谷 卓史  吉備国際大学, アニメーション文化学部, 准教授 (50389003)

研究分担者 大澤 博隆  筑波大学, システム情報系, 助教 (10589641)
久木田 水生  名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (10648869)
西條 玲奈  大阪大学, 文学研究科, 助教 (10768500)
神崎 宣次  南山大学, 国際教養学部, 教授 (50422910)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
研究課題ステータス 交付 (2020年度)
配分額 *注記
6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2018年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワードインターネット研究倫理 / 研究倫理 / 調査倫理 / 社会実験 / インターネット研究 / SATORIプロジェクト / 倫理影響評価(EIA) / 研究倫理審査 / 倫理ダンピング / ELSI / RRI / ICTの職場への応用 / 情報倫理 / 科学技術倫理 / デュアルユース技術 / 科学技術の価値 / 技術哲学 / 技術史 / 科学のエトスと軍事研究 / 情報倫理学 / 倫理ガイドライン / インターネット社会実験
研究実績の概要

欧州SATORIプロジェクトの報告書および欧州標準提案書を検討・分析した。SATORIプロジェクトは、欧州FP7において研究倫理審査および倫理影響評価(EIP)に関して主要国の状況を調査し、欧州標準を提案したプロジェクトである。上記報告書と標準提案の検討のため、この背景となる欧州の研究・イノベーション戦略を概観し、欧州における科学技術と社会との関係を調整する規範的概念である「責任ある研究・イノベーション(RRI)」を検討した。同標準提案の背景には、専門分野や国際的な研究倫理規制の不整合に乗じて、規制の弱い国や分野を濫用して危険な研究・イノベーションを行う「倫理ダンピング」を防止する動機があることを発見した。倫理ダンピング概念を活用し、2020年度以降インターネット研究倫理の問題に取り組んでいる。また、標準提案書(CWA 17145:2017-1および-2)および、この提案書の基礎となる研究倫理審査と倫理影響評価に関する報告書概要を翻訳した。
インターネットなどの情報技術を媒介する人間活動からデータを収集・分析して活用するテクノロジーは、職場の労働監視や行動分析、それらを踏まえた管理に活用されるようになっている。ICTによる職場監視と職務専念義務に関して、最近の応用例と労働判例を踏まえて、過剰な職場での統制に結びつくICT活用を批判する論文を発表した。インターネット研究倫理は、第一には研究の場面での被験者・研究対象者への危害やリスクを防止することが目的であるが、上記RRI概念に見られるように、実社会への適用(イノベーション)とセットで考える傾向が強くなっている。本研究の趣旨も同様のものである。
さらに、ロボットや人工知能、ソーシャルメディア、知的財産権(著作権)の法的・倫理的問題について、個別に検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

第一に、コロナ禍によって2020年3月に予定していた発表が翌年度にずれ込んだ。この発表では、研究倫理審査委員会および倫理影響評価(EIA: Ethical Impact Assessment)の欧州標準提案書およびその背景となるプロジェクト(SATORIプロジェクト)に関して分析した結果を報告する予定であった。2020年7月に電子情報通信学会技術と社会・倫理研究会で報告した。
第二に、インターネット研究とデータサイエンス・人工知能研究等に共通する問題が存在することから、現在のデータを研究対象や人工物の「材料」とする研究・イノベーション全体に研究範囲を広げ、考察を進めるよう方針を変えたためである。SATORIプロジェクトの分析も同様の意義がある。
なお、データを研究対象や人工物(例、機械学習モデル)の「材料」とする研究・イノベーションは、研究対象や研究関心が従来の人文・社会科学や生物医学・保健科学等の分野と大きく重なる一方で、数学的(統計学等)・工学的手法を活用する点に、大きな特徴がある。この結果、研究の過程およびその社会での活用・適用において、大きな価値を生み出すとともに、研究対象者の自律の権利の侵害やプライバシー侵害、差別等の問題を起こす可能性が指摘されている。こうした共通の問題を考察するため、エマージングテクノロジーに関する倫理影響評価(EIA)やELSI(科学技術の倫理・法・社会的側面に関する研究と実践)、研究・イノベーションの倫理審査、RRI(責任ある研究・イノベーション)に関して調査を進めている。

今後の研究の推進方策

SATORIプロジェクトの分析結果を踏まえて、データを研究対象や人工物の「材料」とする研究・イノベーションという大きな枠組みの中で、インターネット研究倫理に関する調査研究を継続して推進する。ELSIやRRIなど、現在社会的・学術的に注目されている科学技術ガバナンス概念について調査・考察しなければ、将来的に中長期有効なインターネット研究倫理を設定するのは困難と思われる。データサイエンスや人工知能、インターネット研究のELSIやRRIなどに関しては、ワークショップやシンポジウム等を通して、国内の関係する研究者から最新の知見・情報を取得することとする。
こうしたインターネット研究の背景となるデータの倫理に関する知見・情報を蓄積・分析するとともに、インターネット研究学会(Association of Internet Researchers)の倫理ガイドラインの翻訳と分析を進める。同学会のガイドラインは、1.0は通知の上研究・教育等での利用が可能、2.0はCC-BYでの配布である。翻訳した成果はできるだけ公開する。

報告書

(2件)
  • 2019 実績報告書
  • 2018 実績報告書

研究成果

(13件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 技術開発に倫理を組み込むこと:人工知能の事例から2020

    • 著者名/発表者名
      久木田水生
    • 雑誌名

      アトモス

      巻: 62 号: 2 ページ: 20-23

    • DOI

      10.3327/jaesjb.62.2_74

    • NAID

      130007886273

    • ISSN
      1882-2606, 2433-7285
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ロボットの倫理:友達ロボットから殺人ロボットまで2020

    • 著者名/発表者名
      久木田水生
    • 雑誌名

      ロボット学会誌

      巻: 38 号: 1 ページ: 18-22

    • DOI

      10.7210/jrsj.38.18

    • NAID

      130007785808

    • ISSN
      0289-1824, 1884-7145
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ICTと職務専念義務2019

    • 著者名/発表者名
      大谷卓史
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 47 ページ: 29-36

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [雑誌論文] アーティクル:表紙解説 ─『宇宙戦艦ヤマト2202』アナライザーと人間の新しいランドスケープ─2019

    • 著者名/発表者名
      高島雄哉, 大澤博隆, and 三宅陽一郎
    • 雑誌名

      人工知能

      巻: 34 ページ: 749-754

    • NAID

      130007917734

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アーティクル:表紙解説 クリエイターが創造する世界観から探る,AI およびAI 社会の未来像2019

    • 著者名/発表者名
      大澤博隆, 三宅陽一郎, and 大内孝子
    • 雑誌名

      人工知能

      巻: 34 ページ: 950-957

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [雑誌論文] ロボット兵器の倫理的問題:殺人の自動化というテクノロジー2019

    • 著者名/発表者名
      久木田水生
    • 雑誌名

      世界

      巻: 925号 ページ: 123-130

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [雑誌論文] ロボット倫理学2019

    • 著者名/発表者名
      久木田水生
    • 雑誌名

      知能と情報

      巻: 31 ページ: 133-138

    • NAID

      130008074652

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 欧州SATORIプロジェクトにおける研究開発倫理ガイドライン開発(2) -共通フレームワークとCEN標準案-2020

    • 著者名/発表者名
      大谷卓史, 大澤博隆, 神崎宣次, 久木田水生, 西條玲奈
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術と社会・倫理研究会
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [学会発表] 欧州SATORIプロジェクトにおける研究開発倫理ガイドライン開発(1)背景と概要2019

    • 著者名/発表者名
      大谷卓史, 大澤博隆, 久木田水生, 西條玲奈
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術と社会・倫理研究会
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [学会発表] Privacy Issues and Citation from Non-Academic Online Sources: a Case Study of the Online Flaming Incident in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      西條 玲奈
    • 学会等名
      6th World Conference on Research Integrity
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 人工知能の倫理的課題:軍事利用、自動的意思決定による差別の事例から2019

    • 著者名/発表者名
      久木田水生
    • 学会等名
      情報ネットワーク法学会分科会
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • 招待講演
  • [図書] 知的財産法学の世界2020

    • 著者名/発表者名
      吉備国際大学大学院知的財産学研究科編集局編集
    • 総ページ数
      461
    • 出版者
      マスターリンク
    • ISBN
      9784905443209
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [図書] 人工知能と人間・社会2020

    • 著者名/発表者名
      稲葉振一郎、大屋雄裕、久木田水生、成原慧、福田雅樹編著
    • 総ページ数
      373
    • 出版者
      勁草書房
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書

URL: 

公開日: 2018-04-23   更新日: 2021-12-27  

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