研究課題
基盤研究(B)
本研究は、全国の和同開珎出土遺跡(784遺跡、出土総数6362点)の正確な分布図を古代の国単位に作成し、駅路、駅家、国府などとの位置関係から、和同開珎出土遺跡の性格を探り、古代銭貨の流通が都城と畿内周辺国に限られたとする従来の通説的理解の検証を試みた。その結果、和同開珎出土遺跡が駅路沿いに分布する傾向が明確になり、畿外における銭貨流通が駅路沿いに展開した可能性が高まった。これは当時、社会問題化していた調庸運脚や役夫の帰郷時の飢苦を救済するために、彼らに銭貨を所持させ、旅の途次に食糧を購入できるシステムの整備を企図した律令国家の貨幣政策を反映した現象とみられる。
これまでの初期貨幣史研究は、古泉学や社会経済史学を中心に進められてきたが、本研究は出土銭貨が内包する遺跡情報に焦点をあて、出土銭貨から貨幣流通の実態解明に迫ろうとする考古学の新たな試みである。律令国家の貨幣政策により、物品貨幣から名目(法定)貨幣への転換がどのように図られ、名目貨幣である銭貨がどのように社会に受容されていったのかという貨幣の本質に迫る研究でもあり、現在の法定貨幣の社会的信認の形成史を探る上でも重要な研究である。
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出土銭貨
巻: 42号 ページ: 19-28
40022771583
『和同開珎の生産と流通』
巻: 二 ページ: 1-26
『出土銭貨』
巻: 第40号 ページ: 1-22
40022096900
巻: 第38号 ページ: 1-15
40021636346
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