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分極化する都市空間におけるレジリエントな地域再成と包容力ある都市論の構想

研究課題

研究課題/領域番号 18H00773
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 小区分04020:人文地理学関連
研究機関大阪市立大学

研究代表者

水内 俊雄  大阪市立大学, 都市研究プラザ, 教授 (60181880)

研究分担者 コルナトウスキ ヒェラルド  九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (00614835)
菅野 拓  京都経済短期大学, 経営情報学科, 講師 (10736193)
垣田 裕介  大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (20381030)
稲月 正  北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (30223225)
五石 敬路  大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 准教授 (30559810)
蕭 コウ偉  大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (30796173)
中山 徹  大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (40237467)
福本 拓  南山大学, 人文学部, 准教授 (50456810)
キーナー ヨハネス  埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (50825784)
陸 麗君  福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (70803378)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
研究課題ステータス 交付 (2020年度)
配分額 *注記
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2019年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2018年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
キーワードセーフティネット / 居住支援 / インナーシティ / 都市再成 / 都市論 / 地域再成 / 就労支援 / セーフティーネット
研究実績の概要

基本的な着眼点は。居住の最後のセーフティネットが、グローバル都市・地域においてどのように機能しているか、同時に都市の分極化が進む中で、ジェントリフィケーションを引き起こすような、都市空間への需要の都心部や周辺インナーシティでの高まりの最前線のキャッチを主眼に研究は進められている。日本および東アジア、そして欧州の事例の収集に努めてきた。特に日本国内においては、定住ではない暫住、暫居、滞在という観点での都市空間の存在が、都市の分極化の負の側面と和らげ、政策的にも財政負担を大きくしない柔軟なアプローチがとれることを、特に大阪の事例をベースに明らかにしてきた。具体には、こうした暫住、暫居が卓越する地域において、垂直的居住分布の著しいタワーマンションから、趣向をこらすワンルームマンション。これらが新築で供給されるのに対して、ハウジングの遊休資源利用やリノベーションを通じて仕事とセットになった社員寮的マンション、公的扶助に依拠した福祉受給者用のマンション、あるいは旺盛の需要の民泊の共有など、実にバラエティに富む都市空間の変容の実態に迫った。
東アジアや欧州都市の変容についても同様な地域の存在に関し、国際ワークショップなどでその実態を共有することを通じて、こうした都心部の変容にそれぞれの特徴や個性のあること、またジェントリフィケーションに対してどのような防波堤になっているのか、うまく身をかわして、ひいては居住のセーフティネットとしての機能をはたしているのかを、居住支援の中身に迫りながら明らかにしてきた。またそうした空間を埋め込んだ都市の持つ包容力を基礎にした、社会的合意形成と、政策提案の支えとなるような学知の発信と都市論の構想を、理論的にも追究している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究チームのアウトプットは、大阪市立大学都市研究プラザが発行するブックレットでもって迅速に公開している。昨年度のブックレットのアウトプットは、5チーム編成で臨んでいる本研究において、インフォーマルな雇用等をバネに新たな地域ビジネスやサービスハブを動かすその実態解明を行うチーム②と、居住福祉支援の実態を明らかにするチーム①とチーム②のアプローチを架橋しながら、包容力ある都市論を唱道し、都市カバナンスの社会的認知を高める役割を担うチーム③の成果が中心となった。
チーム②においては、新しい挑戦となったニューカマー中国人による商店街における地域小ビジネスの展開と、地域での中国人居住の進展を明らかにした。またチーム②では、仕事とハウジングがセットとなった社員寮の機能が、都市のハウジングのセーフティネットにもなり、また就労支援にも近い機能をはたしていることも、飯場調査を通じて部分的に明らかにした。また、日本語学校が教育のみならず、提供する寮と通じた地域との交流などで、外国人のその後の日本での居住におけるサービスハブ的機能を果たしているという当初分析対象になっていなかった実態に迫ることができた。
チーム③の包容力ある都市論の中構築について、ブックレットのアプトプットとして、具体に西成特区構想における、暫居をベースにした居住福祉支援のサービスハブという概念を、構想に組み込んだという社会実装的なアウトカムを生み出したこと。また定例研究会を通じて、日本のみならず東アジア、欧米の事例をカバーする、グローバル都市の最後のセーフティネット構築に関する比較実態調査の英語書籍の編集の最終段階に至ったことが、成果としてあげられる。同時に、現場的には定期的に開催している東アジア包摂型都市ネットワーク会議EA-ICNや、東アジア地域オルタナティブ地理学者会議EARCAGで、理論の精度を高め、実践の伝播に努めた。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究から生み出された新たな課題は、包容力、inclusiveだけに留まらない跳起の機能をどのようにして明らかするかにある。社会的脆弱層を安楽に受け止めるバネとしてのセーフティネットの効く包容力ある都市・地域の発展を、ジェントリフィケーションの荒波にもしたたかに対応する実践としてフォローする。また弾性力あるというバネの効いたトランポリンのように仕事によって、社会的に脆弱な層が跳起する地域の企てをさらにフォローしてゆく。都市論的には、多様なジェントリフィケーションの存在を明らかにし、単に対抗するのではなくそれも利用しつつ、どのように包容と跳起が可能なオルタナティブな都市論を構想するかに注力する。
このオルタナティブな都市・地域の空間構想について、以下の新しい視座を導入する。ジェントリフィケーションは、金と人、プロフェッショナルなスキルや情報のアトラクションと建造環境の向上を伴う。戦略としてこうしたジェントリフィケーションの対象となることを当面逃れつつ社会的脆弱の層を受け入れ続ける地域の、将来の変貌のシナリオを描くこと。そうした地域を失うかもしれないことに対して、セーフティネットをどのように異なる都市・地域で構築するかに資する研究が、今後の調査の鍵を握る。
第一に、典型的なジェントリフィケーションとは少々異なって、人と金が金融資本と直ちには結びつかない、エスニックなあるいは互助のネットワークの中で形成される地域形成のメカニズムにも着目する(チーム②)。もう一つは、そうした地域を失ったときにより広域的に包容力あるセーフティネット機能をもつサービスハブの形成と、そうしたハブを維持する社会的ファンドや集団の維持、育成、社会の合意形成に資する知見を社会に提示する(チーム①)。包容と跳起を可能とするジェントリフィケーションをしたたかにかいくぐるグローバルな都市・地域構想を推し進める。

報告書

(1件)
  • 2018 実績報告書

研究成果

(31件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 学会発表 図書 備考

  • [雑誌論文] 公益法人制度改革後の一般法人・公益法人の構成―東日本大震災被災3県を事例として―2019

    • 著者名/発表者名
      菅野 拓
    • 雑誌名

      ノンプロフィット・レビュー

      巻: 19

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセスとしている
  • [雑誌論文] 韓国の生活困窮者支援とまちづくり2019

    • 著者名/発表者名
      五石 敬路
    • 雑誌名

      名古屋市立大学人間文化研究所『人間文化研究所年報』

      巻: 3月号 ページ: 2-12

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [雑誌論文] 在日朝鮮人事業所の空間的分布と集住地区との関連性―1980年代以降の大阪を事例に―2018

    • 著者名/発表者名
      福本 拓
    • 雑誌名

      経済地理学年報

      巻: 64巻3号 ページ: 194-216

    • NAID

      40021718965

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセスとしている
  • [雑誌論文] 外国人集住地域における多文化共生拠点施設の役割と課題―2018年の入管法改正を念頭に―2018

    • 著者名/発表者名
      福本 拓
    • 雑誌名

      宮崎産業経営大学研究紀要

      巻: 29巻2号 ページ: 1-30

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • オープンアクセスとしている
  • [雑誌論文] Innovations in Gearing the Housing Market to Welfare Recipients in Osaka’s Inner City: A Resilient Strategy?2018

    • 著者名/発表者名
      Johanes Kiener, Geerhardt Kornatowski. Toshio Mizuuchi
    • 雑誌名

      The Housing, Theory and Society

      巻: 35 ページ: 410-431

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本における貧困研究を振り返って――これまでの20年とこれからの展望2018

    • 著者名/発表者名
      岩田正美・青木紀・垣田裕介・桜井啓太・福原宏幸
    • 雑誌名

      貧困研究

      巻: 20 ページ: 4-30

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [雑誌論文] 社会的孤立を防ぎ、生活困窮を解消する2018

    • 著者名/発表者名
      垣田 裕介
    • 雑誌名

      ひょうご人権ジャーナルきずな

      巻: 2018年9月号 ページ: 7-7

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [雑誌論文] 書評:岩田正美著『貧困の戦後史――貧困の「かたち」はどう変わったのか』2018

    • 著者名/発表者名
      垣田 裕介
    • 雑誌名

      社会政策

      巻: 10巻2号 ページ: 144-148

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [雑誌論文] 韓国と日本の就労支援2018

    • 著者名/発表者名
      五石 敬路
    • 雑誌名

      賃金と社会保障

      巻: 1715号 ページ: 5-10

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [雑誌論文] 無料低額宿泊所における居住支援―「居宅生活移行事業」2018

    • 著者名/発表者名
      中山 徹
    • 雑誌名

      安居楽業ー日中韓居住問題国際会議論文集

      巻: 16 ページ: 40-43

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] 東アジア先進大都市における「サービスハブ」の空間的形成過程:ローカルな住宅市場を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      福本 拓,コルナトウスキ・ヒェラルド,水内俊雄
    • 学会等名
      大阪市立大学「先端的都市研究拠点」事業総括シンポジウム(於:大阪市立大学)
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] まちの新しい動きと次期西成特区構想の発進2019

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄
    • 学会等名
      西成全港湾西成分会 大阪市教育委員会主催の研修
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] Study on the characteristic of Urban renewal project in Taipei city2018

    • 著者名/発表者名
      Hong-Wei HSIAO
    • 学会等名
      2018 International Conference of Asia-Pacific Planning Societies (ICAPPS 2018)
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 国際共著/国際学会である
  • [学会発表] 地理情報を利用して地域の現状を検証し今後を構想する―大阪市西区でのEBPMの実践―2018

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄
    • 学会等名
      西区区政会議 勉強会
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] 都市大阪のハウジングセーフティネットを支えて60年―その評価と今後の展望―2018

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄
    • 学会等名
      大阪市生活保護施設連盟60周年記念
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] 封じ込めから分散政策におけるホームレスの人々への最後のセーフティネットの地理:東京を事例にして2018

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄
    • 学会等名
      第2回 「包容力ある都市構想」合同研究会
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] The housing safety as bulwark against gentrification in Japan's vulnerable inner cities2018

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄
    • 学会等名
      9th East Asian Regional Conference in Alternative Geography
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 国際共著/国際学会である
  • [学会発表] “Inplacement”/“Redensification”; Alternative Forms of Land Revalorization in the Inner City of Osaka2018

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄
    • 学会等名
      Postgentrification or Urban Redevelopment on ‘X’ Continents WORKSHOP
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 国際共著/国際学会である
  • [学会発表] Site, Visit Briefing: Socil-Political Overview of Airin District, Site Visit: Nisinari District Walking Tour, Session 1:Overcoming Mistrust - Planning and Implementing Mechanisme for Inclusive Town Planning and Management, Session 2, Lessons Learnt for Improving Urban Amenities, Infrastructure and Land Use in Airin District2018

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄
    • 学会等名
      Technical lDeep Dive on Planning Safe, Inclusive and Resilient Cities
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 国際共著/国際学会である
  • [学会発表] 貧困と居住――政策・支援実践の今日的動向と論点2018

    • 著者名/発表者名
      垣田 裕介
    • 学会等名
      貧困研究会第11回研究大会共通論題(新潟県立大学)
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] 日本における公的扶助受給者の生活状態と自立支援2018

    • 著者名/発表者名
      垣田 裕介
    • 学会等名
      第10回東アジア社会福祉モデルセミナー(韓国/国民年金公団)
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
    • 国際共著/国際学会である
  • [学会発表] Welfare Trap in Japan, International Conference on Poverty in Korea, China and Japan2018

    • 著者名/発表者名
      五石 敬路
    • 学会等名
      ソウル、韓国保健社会研究院
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] 社会的就労支援事業に対する住民の意識-社会的就労支援事業への「接触・認知」と「生活に困窮している若者」への支援意識との関係2018

    • 著者名/発表者名
      稲月 正
    • 学会等名
      第135回日本社会分析学会、山口県セミナーパーク
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [学会発表] 伴走型家族支援で生活困窮世帯の子どもを救う-NPO法人抱樸の取り組みから2018

    • 著者名/発表者名
      稲月 正
    • 学会等名
      第17回日本自治学会(分科会C)、くまもと県民交流館パレア
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [図書] グローバル都市大阪の分極化の新たな位相―日本型ジェントリフィケーションの多様性―2019

    • 著者名/発表者名
      水内俊雄、福本拓、コルナトウスキ ヒェラルト
    • 総ページ数
      158
    • 出版者
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [図書] 『グローバル都市大阪の分極化の新たな位相』、水内俊雄「地力と磁力を活かしたまちづくりとサービスハブ―大阪市西成区北東部を例にして―」、25-49頁2019

    • 著者名/発表者名
      水内俊雄、福本拓、コルナトウスキ ヒェラルト
    • 総ページ数
      158
    • 出版者
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [図書] ホームレス自立支援センター等による一体型総合支援の効果と多機能化体制構築に向けた調査、及び一時生活支援事業・ 居住支援人材育成に関する研究事業 報告書2019

    • 著者名/発表者名
      水内 俊雄、ホームレス支援全国ネットワーク編
    • 総ページ数
      148
    • 出版者
      ホームレス支援全国ネットワーク
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [図書] 困窮孤立状態におかれた子どもへの支援とその連鎖を防止するため世帯支援を一体的、包括的に実施するための支援メニューとそのためのツールの開発、地域連携のあり方に関する調査研究およびそのパイロット事業の実施に関する調査研究事業報告書平成29年度厚生労働省社会福祉推進事業報告書2019

    • 著者名/発表者名
      NPO法人抱樸
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      NPO法人抱樸
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [図書] 『包摂都市ネットワークの最前線-東アジアインクルーシブ都市ネットワークジャパンの活動報告』、中山徹「台北市における民間遊民支援団体―社団法人芒草心慈善協会の事業展開と特徴」、36-38頁2019

    • 著者名/発表者名
      東アジアインクルーシブ都市ネットワークジャパン
    • 総ページ数
      56
    • 出版者
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [図書] 『貧困と生活困窮者支援―ソーシャルワークの新展開―』、垣田裕介「「先駆的実践と歴史的研究が問う家計相談支援の視点と意味」、132-137頁2018

    • 著者名/発表者名
      埋橋孝文・同志社大学社会福祉教育・研究支援センター編
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      法律文化社
    • 関連する報告書
      2018 実績報告書
  • [備考] 水内俊雄の業績

    • URL

      https://toshiomizuuchi.jimdo.com/

    • 関連する報告書
      2018 実績報告書

URL: 

公開日: 2018-04-23   更新日: 2020-08-26  

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