研究課題/領域番号 |
18H00779
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
井口 欣也 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90283027)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2018年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
|
キーワード | アンデス文明 / 形成期 / 考古学 / クントゥル・ワシ / ペルー / 文明形成 / 神殿 / 社会複雑化 / 文明史 / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
2021年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響により予定していた現地発掘調査をおこなうことができなかったため、前年度までに得られた資料の分析を進めた。また、月に一回程度の頻度でペルーの研究協力者とオンラインで研究会議をおこない、これまでの研究成果についての検討と翌年度の調査計画立案をおこなった。 2022年度は、8月14日から9月18日の日程でペルー共和国に赴き、研究協力者とともに北部山地カハマルカ県のクントゥル・ワシ遺跡で約3週間の発掘調査を実施した。前回(2019年)の発掘調査で得られた結果を踏まえ、今回は同遺跡の第3テラスにおけるトレンチ発掘調査を実施した。同時に、ドローンを使用した遺構と地形の測量をおこなった。 発掘を実施した第3テラスはクントゥル・ワシ遺跡の神殿建築が集中する区域の外側に位置しており、この領域を発掘することによって、神殿を支えた建築活動、儀礼、生産活動等の実態と変化を明らかにすることが目的であった。 発掘調査の結果、クントゥル・ワシ遺跡の第3テラスでは、この遺跡の最初の時期であるイドロ期(前950-前800年)の建築物が複数検出された。さらに、副葬品を伴う同時期の墓も発見された。副葬品には、遠隔地資源である方ソーダ石と珪孔雀石を原材料とするビーズ玉が含まれていたが、これまでの調査では同時期にほとんど出土していなかった素材の加工品であるため、新たな知見をもたらす重要な発見となった。 これまで、クントゥル・ワシ最初のイドロ期神殿は限定された領域で建設活動がおこなわれていたと考えられてきたが、今回の発掘によって、遺跡下方の第3テラスまで利用され何らかの社会的活動がおこなわれていたことが明らかになり、本研究課題の推進に大きく資する成果となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年に、新型コロナウィルス感染拡大の影響で中断していたクントゥル・ワシ遺跡の発掘調査による一次資料の収集を3年ぶりに実現することができた。同遺跡第3テラスの発掘調査の結果、この遺跡の最初の神殿建築の成立過程を明らかにするための重要なデータを得ることができたのはたいへん大きな成果であった。この成果と2019年に実施した同遺跡第4テラスの発掘で得られたデータを総合することによって、本研究課題の探求のために重要な進展があったといえる。したがって、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今回の発掘調査で得ることができたクントゥル・ワシ遺跡第3テラスの資料と2019年に得た第4テラスの考古学資料について、当研究課題の探求に資する分析を進め、同時に総合することが不可欠である。 具体的には、発掘で検出された建築遺構、土器、石器、骨角器、土製品、人骨、動物骨、自然遺物などの資料について、図面、写真、記述などによる基本的な記録をしたうえで、その時期的変遷や分布について分析する。また、放射性炭素年代測定、人骨と動物骨の同位体比分析、石材・土器原材料・貝の産地同定など理化学的分析も導入し、同神殿の建設と神殿運営に関わる資源利用、生産活動、儀礼などの社会的活動、生業、社会複雑化について一定の解釈を得る方針である。
|