研究課題/領域番号 |
18H00870
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
C Y.Horioka 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 特命教授 (90173632)
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研究分担者 |
新見 陽子 同志社大学, 政策学部, 教授 (30742647)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2018年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 世代間移転 / 資産格差 / 遺産 / 教育投資 / 社会経済的地位 / 格差 / 資蓄積積 / 人的資本 / 貯蓄 / 生前贈与 / 教育 / 資産蓄積 / 家族介護 / 教育・人的資本 / 遺産・生前贈与 / 社会経済的地位の継承 |
研究実績の概要 |
最近世界中で大きな話題になっている格差問題について論じる際、ある一時点において社会経済的地位の格差がどれだけあるかは言うまでもなく非常に重要であるが、世代間における社会経済的地位の相関がどれだけ高く、社会経済的地位の格差がどの程度代々継承されるかも同じくらい重要であり、研究に値する。なぜならば、スタート時点において人々が平等であることが望ましく、スタート時点においてすでに大きな社会経済的地位の格差があることは望ましくないからである。これまでの研究では、世代間における社会経済的地位の相関が強く、社会経済的地位が代々継承される傾向にあることが示されている。しかし、親から子への世代間移転(親から子への教育投資や遺産、生前贈与など)が、世代間の社会経済的地位および格差の継承にどの程度貢献しているのかは明確にされていない。そのため、本研究の目的は、親から子への様々な形の世代間移転が、世代間の社会経済的地位の継承、またそれに伴う格差の継承にどの程度貢献しているのかを、日本などからの個票データを分析することによって明らかにし、格差を軽減するための政策提言を行うことである。本研究の貢献は、(1)世代間の社会経済的地位および格差の継承における世代間移転の役割について検証している点、(2)親から子への移転を網羅的に捉え、様々な形の世代間移転を考慮している点、(3)国際比較を行っている点、(4)経済学的な観点から分析を行っている点である。当該年度においては、本研究の目的・研究計画に沿った複数の研究を平行して進め、多くの研究成果を挙げ、近年急増している住宅ローンの家計の資産蓄積行動に与える影響、高齢者の資産蓄積行動、ライフ・サイクル仮説の妥当性などに関する大変興味深い分析結果を数々得た。詳細については、下記の「現在までの進捗状況」および「今後の研究の推進方策」を参照されたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最初の4年だけで16本の学術論文を完成させ、学術雑誌・学術書籍に出版しており、それ以外にも数本の学術論文を完成させ、学術雑誌などに投稿しており、中にはすでに採択されているものもある。さらに、最初の4年だけで37回国内外の学会で研究発表を行った。特に、今年中に2本の学術論文を出版した。まず、Horioka, Gahramanov, Hayat, and Tang (2021)は、大阪大学が実施している「くらしの好みと満足度についてのアンケート調査」からの個票データを用いて、遺産動機が親の労働供給・退職行動に影響するかどうかについて検証し、優位に労働供給を増やすことがあるといった結果を得た。また、Niimi (2021)は慶應義塾大学が実施している消費生活に関するパネル調査からの個票データを用いて、結婚が女性の資産蓄積にどのような影響を及ぼすかについて検証し、日本では、女性の個人資産は減少するが、家計資産は増えるといった結果を得ている。 これらの分析を行うことによって、人々の貯蓄行動(資産蓄積行動)、遺産動機、労働供給、結婚などが社会経済的地位・資産格差の世代間の継承においてどのような役割を果たしているかについてヒントを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
後の研究の推進方策として以下の方向を考えている。 (1)ホリオカ、Emin GahramanovとXueli Tangは大阪大学が実施している「くらしの好みと満足度についてのアンケート調査」からの個票データを用いて、遺産動機、公的介護保険制度、家族介護、有給介護との間の相互依存関係を明らかにする予定である。ホリオカtとLuigi VenturaはSurvey of Health, Ageing and Retirement in Europe (SHARE) からの個票データを用いて高齢者の資産蓄積行動について検証し、予備的貯蓄と遺産動機の重要性について明らかにする予定である。 (2)新見は,独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が実施した「家族の介護と就業に関する調査」からの個票データを用いて、介護休業制度などが人々の労働供給に与える影響について検証する予定である。また、新見は慶應義塾大学が実施している「消費生活に関するパネル調査」からの個票データを用いて、夫婦間の資産格差の決定要因について検証し、夫と妻がそれぞれの親から受け取った遺産が果たす役割について明らかにする予定である。 これらの分析を行うことによって人々の貯蓄行動(資産蓄積行動)、遺産動機、家族介護、結婚などが社会経済的地位・資産格差の世代間の継承においてどのような役割を果たしているかを明らかにしたい。
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