研究課題
基盤研究(B)
銅酸化物高温超伝導体の膨大な研究において、相図上に広く出現する擬ギャップ状態の解明は、現代物理学における最重要課題の一つである。本研究では、最高感度の磁気トルク測定を駆使することにより、擬ギャップ状態における相転移現象と対称性の破れの解明に取り組んだ。正方晶構造を有する銅酸化物超伝導体HgBa2CuO4+dにおいて、擬ギャップ状態での自発的回転対称性の破れを熱力学的に見出し、これが[110]方向に発達する特異なものであることを明らかにした。この結果は擬ギャップ相がCu-O-Cuボンド方向への相関もつCDW相とは異なる秩序相であり、CDWのゆらぎや前駆現象ではないことを示す重要な結果である。
本研究成果は、擬ギャップ相での回転対称性の破れが系に依存することを示しており、現代物理学における最重要問題の一つとされる擬ギャップ状態の微視的起源を明らかにする上で極めて重要な結果と考えられる。さらに、本研究では新しい系として、5dイリジウム酸化物Sr2IrO4の隠れた秩序状態について、これが奇パリティのアナポール秩序であることを示した。これらはモット絶縁近傍において強く相互作用する電子系が示す新奇電子状態の存在を示したものであり、学術的に意義のあるものといえる。
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