研究課題
基盤研究(B)
“磁性分子”を“スピン量子ドット”に用いた新規縦型スピントランジスタを実現することを提案した。分子をトンネル絶縁膜に内包した2重トンネル接合を作製し、縦型トランジスタのチャネル層として用いた。分子軌道を反映した単一キャリアトンネル電流を観測し、ゲート電圧によるドレイン電流の変調を実現した。続いて強磁性電極を用いた2重トンネル接合素子を作製し、単一キャリア伝導と強磁性電極のスピン反転によるトンネル電流のスイッチングを実現した。さらに、有機ラジカル分子をスピン量子ドットとしてトンネル絶縁膜中に内包する技術を確立し、有機ラジカル分子の離散準位に起因するトンネル電流と負の磁気抵抗効果を観測した。
本申請課題では、分子の持つ量子ドットとしての優れた特徴と分子スピン機能を融合した新しいスピントランジスタを創成することを目的とした。分子を電子デバイスに用いる提案は古くからあるが、ナノプローブやナノギャップ電極を用いた基礎物性評価に留まってきた。それに対し、本提案素子は、分子が絶縁膜に内包されているため、これまで分子デバイスが苦手としてきたリソグラフィー技術を活用した微細化が可能となる。高集積可能な分子スピントロニクス素子の開発に繋がる成果である。
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ACS Applied Electronic Materials
巻: 3 号: 2 ページ: 973-978
10.1021/acsaelm.0c01056
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