その場Ｘ線吸収分光法を用いたプロトン伝導誘起局所構造の解明

• 研究課題/領域番号: 18H01694
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分26010:金属材料物性関連
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 山崎 仁丈 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (30292246)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2020年度)
• 配分額: 17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円); 2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円); 2019年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円); 2018年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
• キーワード: プロトン伝導性酸化物 / 水和反応 / 局所構造 / その場Ｘ線吸収分光法 / 熱重量分析

研究成果の概要

プロトン導入に関与する酸素空孔の局所構造変化を評価するため、酸素イオンが配位するBサイト周囲における水和反応に伴う電子・局所構造変化をその場X線吸収分光法(in-situ XAS)にて評価した。水和反応前後におけるXASスペクトルで最も顕著な変化を生じたのはSc置換ジルコン酸バリウムであり、X線吸収端近傍構造領域において吸収端より低エネルギー側に現れるプレエッジピークに変化が観測された。その結果、Sc置換ジルコン酸バリウムにおいては、Sc-VO-ScおよびSc-VO-Zr配置の酸素空孔が水和反応を担っていることが示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

これまで困難であった酸化物の水和挙動のその場観察、特に固体に存在する酸素空孔周りの局所構造変化のその場観察に世界で初めて成功した。これにより、酸化物にプロトン伝導を誘起するのに必要不可欠な水和反応と局所構造の関係性が明らかにされた。

研究成果

• [国際共同研究] ノースウェスタン大学(米国)
• [雑誌論文] Non-linear Behavior for Chemical Expansion in Yttrium-doped Barium Zirconate upon Hydration (2021)
  • 著者名/発表者名: Kenta Hoshino, Junji Hyodo, and Yoshihiro Yamazaki
  • 雑誌名: Chemistry Letters 巻: - 号: 5 ページ: 899-902
  • DOI: 10.1246/cl.200942
  • NAID: 130008040435
  • 査読あり
• [雑誌論文] Oxygen Affinity: The Missing Link Enabling Prediction of Proton Conductivities in Doped Barium Zirconates (2020)
  • 著者名/発表者名: Yoshihiro Yamazaki, Akihide Kuwabara, Junji Hyodo, Yuji Okuyama, Craig A. J. Fisher, and Sossina M. Haile
  • 雑誌名: Chemistry of Materials 巻: 32 号: 17 ページ: 7292-7300
  • DOI: 10.1021/acs.chemmater.0c01869
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Fast and Stable Proton Conduction in Heavily Scandium-Doped Polycrystalline Barium Zirconate at Intermediate Temperatures (2020)
  • 著者名/発表者名: Junji Hyodo, Koki Kitabayashi, Kenta Hoshino, Yuji Okuyama, and Yoshihiro Yamazaki
  • 雑誌名: Advanced Energy Materials 巻: 10 号: 25 ページ: 2000123-2000123
  • DOI: 10.1002/aenm.202000213
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] Sc置換ジルコン酸バリウムの酸素空孔局所配置と水和反応への寄与 (2020)
  • 著者名/発表者名: 星野健太, 笠松秀輔, 兵頭潤次, 山本健太郎, 桑原彰秀, 瀬戸山寛之, 岡島敏浩, 山崎仁丈
  • 学会等名: 第46回固体イオニクス討論会
• [学会発表] 中温領域におけるプロトン伝導度の最大化 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山崎 仁丈
  • 学会等名: 第76回固体イオニクス研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 高温その場X線吸収分光法によるY置換ジルコン酸バリウムの構造解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 星野健太, 兵頭潤次, 山本健太郎, 桑原彰秀, 瀬戸山寛之, 岡島敏浩, 山崎仁丈
  • 学会等名: 第45回固体イオニクス討論会
• [学会発表] Sc置換ジルコン酸バリウムのプロトン濃度が会合エネルギーに及ぼす影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 北林康喜、兵頭潤次、山崎仁丈
  • 学会等名: 第45回固体イオニクス討論会
• [学会発表] 高濃度Sc置換したジルコン酸バリウムにおけるプロトン伝導 (2019)
  • 著者名/発表者名: 北林康喜、兵頭潤次、山崎仁丈
  • 学会等名: 第５６回化学関連支部合同九州大会
• [学会発表] Sc置換ジルコン酸バリウムのプロトン伝導度に対する置換元素濃度の影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 北林康喜、兵頭潤次、山崎仁丈
  • 学会等名: 2019年度合同学術講演会
• [学会発表] 次世代燃料電池電解質におけるプロトン伝導の起源解明 (2019)
  • 著者名/発表者名: 星野健太, 兵頭潤次, 山本健太郎, 桑原彰秀, 瀬戸山寛之, 岡島敏浩, 山崎仁丈
  • 学会等名: 九州大学エネルギーウィーク2019
• [学会発表] Rate-limiting Factor of Oxygen Evolution Reaction for Strontium Titanate Photocatalyst (2018)
  • 著者名/発表者名: Y. Bando, J. Hyodo, Y. Yamazaki
  • 学会等名: 5th Solid-state Chemistry & Ionics workshop
  • 国際学会
• [学会発表] Order parameter and symmetry breaking: impact on oxygen diffusivity in Mg-doped LaGaO3 (2018)
  • 著者名/発表者名: Y. Tani, J. Hyodo, Y. Yamazaki
  • 学会等名: 5th Solid-state Chemistry & Ionics workshop
  • 国際学会
• [学会発表] Active Hydration Site in Sc-doped Barium Zirconate (2018)
  • 著者名/発表者名: K. Hoshino, J. Hyodo, K. Yamamoto , A. Kuwabara, H. Setoyama, T. Okajima, Y. Yamazaki
  • 学会等名: 5th Solid-state Chemistry & Ionics workshop
  • 国際学会
• [学会発表] Enhanced photocatalytic activity of strontium titanate by oxygen nonstoichiometry (2018)
  • 著者名/発表者名: Y. Yamazaki
  • 学会等名: The 120th meeting of American Ceramics Society
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Sc置換ジルコン酸バリウムの水和反応に寄与する酸素空孔局所環境 (2018)
  • 著者名/発表者名: 星野健太, 兵頭潤次, 山本健太郎, 桑原彰秀, 瀬戸山寛之, 岡島敏浩, 山崎仁丈
  • 学会等名: 第44回固体イオニクス討論会
• [学会発表] Sc置換ジルコン酸バリウムにおける酸素空孔配置と水和反応活性の関係: その場X線吸収分光法および第一原理計算 (2018)
  • 著者名/発表者名: 星野健太, 兵頭潤次, 山本健太郎, 桑原彰秀, 瀬戸山寛之, 岡島敏浩, 山崎仁丈
  • 学会等名: 第５５回化学関連支部合同九州大会(物理化学)
• [学会発表] in situ XASおよびXRDを用いたマグネシウム置換ガリウム酸ランタンの構造評価 (2018)
  • 著者名/発表者名: 石橋健太郎, 星野健太, 兵頭潤次, 岡島敏浩, 山崎仁丈
  • 学会等名: 第５５回化学関連支部合同九州大会(電気化学)
• [学会発表] マグネシウム置換ガリウム酸ランタンにおける弱い一次相転移と酸素イオン伝導 (2018)
  • 著者名/発表者名: 田仁裕也, 兵頭潤次, 山崎仁丈
  • 学会等名: 第５５回化学関連支部合同九州大会(電気化学)
• [学会発表] チタン酸ストロンチウム光触媒を用いた光酸素生成反応における律速因子の検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 板東芳朗, 兵頭潤次, 山崎仁丈
  • 学会等名: 第５５回化学関連支部合同九州大会(電気化学)
• [学会発表] Insights into BaZr0.8Sc0.2O3-δ Hydration Revealed by In-situ X-ray Absorption Spectroscopy and Ab initio Calculation (2018)
  • 著者名/発表者名: K. Hoshino, K. Yamamoto, J. Hyodo, A. Kuwabara, H. Setoyama, T. Okajima, Y. Yamazaki,
  • 学会等名: 平成３０年度合同学術講演会
• [学会発表] Weakly first-order phase transiton and its impact on oxygen ion conductivity in Mg-doped lanthanum gallate (2018)
  • 著者名/発表者名: Y. Tani, J. Hyodo, Y. Yamazaki
  • 学会等名: 平成３０年度合同学術講演会
• [学会発表] マグネシウム置換ガリウム酸ランタンにおける相転移と局所構造の関係 (2018)
  • 著者名/発表者名: 石橋健太郎, 星野健太, 兵頭潤次, 岡島敏浩, 山崎仁丈
  • 学会等名: 平成３０年度合同学術講演会
• [学会発表] チタン酸ストロンチウム 粉末を用いた光酸素生成 速度の波長および光量依存性 (2018)
  • 著者名/発表者名: 板東芳朗, 兵頭潤次, 山崎仁丈
  • 学会等名: 平成３０年度合同学術講演会