研究課題
基盤研究(B)
炭素-ヘテロ原子結合の切断をともなう触媒反応を、特にオニウム塩の形成を経由させることで開発を目指した。その結果、ビスホスフィンを基質としてニッケル触媒存在下、二回の炭素-リン結合の切断をともないホスホールを形成する反応を見出した。さらに、同様のビススルフィド化合物の二回の炭素-硫黄結合の切断をともなったチオフェン骨格の構築反応が、チオラート塩基触媒により進行することを明らかにした。さらに、トリアリールホスフィンとベンザインの分子間反応により炭素-リン結合の切断をともなってホスホールが得られる反応を開発した。
C-H結合の活性化を基盤とする研究が激増する中、炭素-ヘテロ原子結合の活性化に着目した研究は少ない。さらに、そのアプローチとして、「触媒的なオニウム塩形成」が一般性のあるアプローチであることを実証できた。これらの成果は、取り扱いに難のある反応性ヘテロ原子導入試薬を使わずに、安定な3級ホスフィンやスルフィドをリンや硫黄源とする有機合成を可能にする。硫黄、リンといったヘテロ官能基は分子の機能発現に決定的な役割を果たすため、これらの官能基を自在に導入する新手法の開発は、それらの機能性分子のより環境調和型の供給に資する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
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