研究課題
基盤研究(B)
ゲルは、ゼリー、豆腐などの食品や、ソフトコンタクトレンズ、止血剤など医療に活用される、ウェットでやわらかい物質である。本研究では、ゲルのやわらかさが熱力学第二法則(エントロピー増大の法則)に基づくエントロピー弾性でおおむね説明できるという100年近く信じられてきた定説を覆し、ゲルは大きな負のエネルギー弾性を持つことを示した。その結果を元に、負のエネルギー弾性は、ゲルの本質である溶媒と高分子の共存に由来していることを示し、ゲル弾性はゴム弾性とは異なることを明らかにした。
高分子網目の示す弾性率と温度の関係性については、ゴム弾性においてはエネルギー項の割合が小さく、その起源はエントロピー弾性であると結論付けられた。これ以降、全ての理論モデルはエネルギー項を無視し、エントロピー項のみに着目をして構築されてきた。高分子ゲルに関しても、ゴム弾性の理論がそのまま適用された。本研究は、これまでに疑われることのなかった領域にメスを入れる研究であり、ゲルとゴムの本質的な違いを明らかにし、ゲルを独立な物質として再定義する学術的に意義のある研究である。本研究により、高分子ゲルの弾性について理解が深まったことで、新しい高分子ゲル材料の設計指針が得られる可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 16件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (46件) (うち国際学会 12件、 招待講演 20件)
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