研究課題
基盤研究(B)
Mn酸化物に構造歪みを導入する手法として、数あるマンガン酸化物結晶相の中でも、構造歪みの精密制御が可能であり、Microtwinning構造を有するガンマ型MnO2を主要な触媒材料として検討を進めてきた。その結果、構造歪みの導入に伴いMn3+の不均化反応が抑制され、酸素発生の過電圧が減少することを確認した。また、不均化反応の電位依存性を考慮に入れることで、強酸環境においても、MnO2触媒が溶出することなく安定して水を電気分解出来ることを突き止めた。
水の電気分解による水素製造は、CO2排出フリーの化学産業を構築するうえで不可欠である。しかし、酸素発生反応に対して、優れた活性と安定性を持つ触媒は、Irなどの希少金属のみであり、Mnなど豊富に存在する元素を用いた触媒の開発が強く望まれている。同課題の解決するための方法論として、本研究では、「構造歪みの導入によるMn3+イオンの不均化反応に対する安定性の向上」を提案した。その結果得られた、高い酸耐性を有するMn酸化物触媒は、貴金属を用いない水電解技術の開発につながるものである。
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