研究課題
基盤研究(B)
希少放線菌アクチノプラネス・ミズーリエンシスは、寒天培地上、菌糸状に生育したのち、数百個の胞子を内包した胞子嚢を形成する。胞子嚢が水に浸されると休眠していた胞子が覚醒し、胞子嚢の開裂が引き起こされる。水中に放出された胞子は、べん毛を用いて高速で運動する遊走子となる。本研究では、本菌のこのような複雑な形態分化の分子基盤を解明することで、微生物細胞の巧妙な生存戦略を明らかにすることを目的とした。運動性胞子の形成・休眠・覚醒・運動制御に関して多方面から解析した結果、本菌の複雑な形態分化を支える遺伝子発現制御機構についての多くの知見が得られた。
生命の最小単位は細胞であるが、微生物は細胞を「個体」として生きることを選んだ生き物である。一見、単純に見える微生物でも巧妙な生存戦略を進化の中で獲得している。本研究では、ユニークな生活環を有する希少放線菌を研究材料にして、「細胞の休眠と覚醒はいかにして制御されているのか?また、細胞分化はどのようにして引き起こされるのか?」という根源的な謎に挑戦し、その本質に迫る遺伝子発現制御機構をいくつも明らかにした。
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