研究課題
基盤研究(B)
パンコムギは、マカロニコムギ(ゲノム構成:AABB)とタルホコムギ(DD)との交雑により生じた異質6倍体である。マカロニコムギ品種「Langdon」を共通の親として早生および晩生型のタルホコムギを交雑し、合成6倍体コムギを作出した。早生型タルホコムギ由来の合成コムギでは、早生型DゲノムがA、Bゲノム上のCO-like遺伝子の発現を、ゲノムを超えて活性化し早生となる。この「ゲノム間クロストーク機構」はエピジェネティック発現制御が関与している。さらに、早生型合成パンコムギの育種的利用として、パンコムギ品種「ゆきちから」を北陸地方での栽培に適した早生型へと改良することに成功した。
本研究により、倍数性コムギにおける花成遺伝子群の「ゲノム間クロストーク作用」がエピジェネティック発現制御機構により起こることが示唆された。これまでの育種はジェネティックな遺伝改変にのみ注目してきたが、倍数性作物では、エピゲノムにも注目する育種法が未来型育種法として、可能であることを意味する。エピゲノム育種によって出穂性を微妙にコントロールすることが可能となり、出穂性のファインチューニング育種が実現するだろう。また、本研究により、早生型合成コムギそのものが、コムギ育種に有用であることが実践できた。
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PLOS ONE
巻: 15 号: 1 ページ: 1-19
10.1371/journal.pone.0228397
120006863556