研究課題
基盤研究(B)
アフリカの野生イネであるロンギスタミナータ由来の染色体断片を栽培イネ品種に導入した染色体断片置換系統群(LCSILs)の遺伝子型を次世代シーケンサーで解析するとともに、いもち病抵抗性、耐塩性および耐冷性を評価した。いもち病抵抗性には系統間で大きな変異が認められ、その違いはロンギスタミナータ由来遺伝子の供与親であるpLIA-1の染色体断片が導入されたためと考えられた。耐塩性を示した5系統におけるpLIA-1の染色体置換位置は既知の耐塩性QTLと一致していなかった。耐冷性の強い系統は見出されなかった。LCSILsはいもち病抵抗性および耐塩性育種のための交配材料として有用であることが示された。
LCSILsにはロンギスタミナータ由来遺伝子の供与親に由来する多様ないもち病抵抗性遺伝子が含まれていた。また、LCSILsの中から同定された耐塩性系統は、既知の耐塩性QTLとは異なる位置で遺伝子供与親の染色体に置換されていた。これらの成果はロンギスタミナータが有する未利用の有用遺伝子を利用したイネの品種改良に繋がるものである。LCSILsの反復親として用いたバスマティは、イネの消費が急拡大しているアフリカのケニアでも高価格で取引される人気の高いイネである。本研究で得た情報に基づきLCSILsを育種利用し、バスマティの品種改良を進めることにより、ケニアにおける稲作の安定化に貢献することが出来る。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Journal of Agronomy and Crop Science
巻: 00 号: 6 ページ: 00-00
10.1111/jac.12524