研究課題
基盤研究(B)
本研究では果実形状に幅広い多様性を持つカキ品種群を対象として、ゲノムワイドな観点からの決定分子機作や進化メカニズムの解明を目指した研究を行った。カキ属における栽培ガキ近縁野生種の参照全ゲノム配列を新規に構築し、楕円フーリエ記述子を用いた主成分解析によって数値化したカキ品種群における果実形状多様性とリンクする共発現ネットワークを同定した。カキ品種群に共通するものとして、サイトカイニンシグナルに関連するKNAT1などの転写因子群の動態に特異性が見られ、他科植物種では果実における発現が著しく低いこれらの遺伝子群の発現変化がカキの広い形状多様性に関与する可能性も考えられた。
「形」は作物の価値を決定する大きな要因であるとともに、その植物独自の進化過程を強く反映するものである。これまで葉や花といった器官における形の多様性研究はモデル植物を中心に活発に進められてきた。しかし「果実」器官の形状多様性については種間を横断する機構において遺伝子レベルでの共通性が無いことも多い。本研究におけるカキ果実の発現特異性の獲得機構は、この種特異的な形状多様性が生まれる根本的な要因に迫るものであり、将来的には、進化学的観点から見た際の系統特異的な果実進化の本質に至るものであると思われる。
すべて 2021 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Plant and Cell Physiology
巻: 60 号: 11 ページ: 2464-2477
10.1093/pcp/pcz139