研究課題
基盤研究(B)
本研究では、ヘテロクロマチン領域における接着確立機構を明らかにすることを目指した。ヘテロクロマチンに集積する接着確立因子Dalmatian(Dmt)の結合因子の網羅的スクリーニングから得られた遺伝子のひとつであるクロマチンリモデリング因子BAP180のノックダウンは顕著な接着異常を引き起こし、このとき、Dmtのヘテロクロマチン局在が阻害された。この接着異常は、Dmtの過剰発現により回復したことから、Dmtのヘテロクロマチン局在をBAP180が促進することで、ヘテロクロマチン領域の接着が確立されている可能性が強く示唆された。
これまでの接着研究においては、DNAとコヒーシンが一対一の関係で論じられ、DNA側を取り巻く環境との関連は考慮されて来なかった。本研究ではクロマチン環境と接着機能の関係に着目した初めての研究となる点で、学術的意義がある。さらに本研究の成果は、ヘテロクロマチン領域における複製や転写といった接着以外の現象の分子機構理解にも繋がるだけでなく、接着機構のヘテロクロマチン以外の染色体環境への適応機構を理解する手がかりにもなり、染色体研究分野に大きな波及効果をもたらすものと期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)
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