ミニマムゲノム細菌を用いた遺伝子機能の網羅的同定による生命の基幹システムの理解

• 研究課題/領域番号: 18H02433
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分43060:システムゲノム科学関連
• 研究機関: 国立研究開発法人産業技術総合研究所
• 研究代表者: 柿澤 茂行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10588669)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2023-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円); 2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円); 2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円); 2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円); 2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円); 2018年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
• キーワード: 細菌ゲノム / 必須遺伝子 / マイコプラズマ / 細菌 / ゲノム

研究成果の概要

本研究では、ミニマムゲノム細菌JCVI-syn3Bを用いて、誘導プロモーター系などをテストするとともに、未知遺伝子の機能を網羅的に解明する系を開発した。特に、遺伝子の特異的ノックダウンが可能なCRISPR interference（CRISPRi）システムの導入に成功し、テトラサイクリン誘導プロモーター系が最も効果的であることを確認した。このシステムを多数の未知遺伝子に適用し、遺伝子機能解析を行う基盤を確立した。これにより、ミニマムゲノム細菌の基本的な生命機能の全容解明に向けた重要な知見を得た。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究の意義は、最小の生命システムを持つミニマムゲノム細菌において、未知遺伝子の機能を網羅的に解析する基盤を構築した点と、新たなバイオテクノロジーの発展に寄与する可能性がある点にある。特に誘導プロモーター系とCRISPRi技術を用いることで、遺伝子発現の精密な制御を可能にした。これにより生命の基本システムを解析するための重要なツールを提供し、生命科学の基礎研究に貢献することが期待される。加えて、ミニマムゲノム細菌を用いた研究により、合成生物学において新たな応用の道を開く可能性がある。例えば、最小限の遺伝情報で機能する細胞を設計することで、効率的な生産システム等の開発につながることが期待される。

研究成果

• [国際共同研究] J. Craig Venter Institute(米国)
• [雑誌論文] Spiroplasma as facultative bacterial symbionts of stinkbugs (2022)
  • 著者名/発表者名: Kakizawa Shigeyuki、Hosokawa Takahiro、Oguchi Kohei、Miyakoshi Kaori、Fukatsu Takema
  • 雑誌名: Frontiers in Microbiology 巻: 13 ページ: 1044771-1044771
  • DOI: 10.3389/fmicb.2022.1044771
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Reconstitution of a minimal motility system based on Spiroplasma swimming by two bacterial actins in a synthetic minimal bacterium (2022)
  • 著者名/発表者名: Kiyama H, Kakizawa S, Sasajima Y, Tahara YO and Miyata M
  • 雑誌名: Science Advances 巻: 8 号: 48 ページ: eabo7490
  • DOI: 10.1126/sciadv.abo7490
  • URL: https://ocu-omu.repo.nii.ac.jp/records/2020471
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] ミニマルセルを用いた生命機能の解析 (2024)
  • 著者名/発表者名: 柿澤茂行
  • 学会等名: 第18回日本ゲノム微生物学会年会
• [学会発表] ミニマルセルを用いた細菌の高次機能の再構築 (2024)
  • 著者名/発表者名: 柿澤茂行
  • 学会等名: 日本農芸化学会2024年度大会
  • 招待講演
• [学会発表] ミニマルセルを用いた生命機能の解析 (2024)
  • 著者名/発表者名: 柿澤茂行
  • 学会等名: シンポジウム「環境応答」
• [学会発表] ミニマルセル（最小ゲノム細菌）を用いた生命機能の解析 (2023)
  • 著者名/発表者名: 柿澤茂行
  • 学会等名: 大隅財団 微生物コンソーシアム
  • 招待講演
• [学会発表] Whole genome cloning of genome-reduced insect symbionts (2023)
  • 著者名/発表者名: 柿澤茂行
  • 学会等名: The 11th Wolbachia Conference
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Adaptive laboratory evolution of JCVI-syn3.0B to low temperature (2023)
  • 著者名/発表者名: 水谷雅希、古賀隆一、深津武馬、柿澤茂行
  • 学会等名: 24th Biennial Congress of the International Organization for Mycoplasmology (IOM)
  • 国際学会
• [図書] 未培養微生物研究の最新動向, "細菌の全ゲノムクローニングと未培養細菌への応用" (2023)
  • 著者名/発表者名: 水谷雅希, 古賀隆一, 深津武馬, 柿澤茂行
  • 総ページ数: 264
  • 出版者: 株式会社シーエムシー出版
• [図書] 実験医学, "細菌の全ゲノム合成. " (2023)
  • 著者名/発表者名: 柿澤茂行
  • 総ページ数: 133
  • 出版者: 羊土社