研究課題/領域番号 |
18H02497
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
倉林 敦 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (00327701)
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研究分担者 |
太田 英利 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (10201972)
田辺 秀之 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (50261178)
森 哲 京都大学, 理学研究科, 教授 (80271005)
米澤 隆弘 東京農業大学, 農学部, 准教授 (90508566)
松田 洋一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (70165835)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2018年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 遺伝子の水平伝播 / 生物地理 / パンデミック / ウィルス / メクラヘビ / 水平伝播 / 次世代シークエンス / メタゲノム / 南アジア / マダガスカル / 遺伝子水平伝播 / 染色体FISH / 分子系統 / 分岐年代 / 系統地理 / 脊椎動物 / 生物系統地理 / 分子系統解析 / インド / 外来生物 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヘビからカエルに水平伝播したLINEレトロトランスポゾンBovBについて、(1)水平伝播時期と地域の解明、(2)水平伝播遺伝子の視覚化、(3)爬虫類・両生類以外のマダガスカル産脊椎動物にもBovBの水平伝播が生じているかの解明、(4)水平伝播を媒介した寄生虫・ウィルスの探索、(5)南アジア原産のブラーミニメクラヘビが、マダガスカルのヘビタイプのBovBを持っている理由の解明、の5点を目的としている。 本年度は、まず(2)について、マダガスカルガエルの核にBovBがあるかを染色体FISHによって視覚的に確認した。この結果から、マダガスカルガエルでは、PCRのコンタミネーションではなく、染色体にヘビ型のBovBが統合されていることを証明した。さらに、(1)(2)についてまとめた論文を投稿した。 (4)について、引き続きから蛇の体液と組織から、ウィルス由来の核酸を効率的に抽出する方法の確立を試みた。これまでに得た次世代シークエンスデータについて、NCBI全塩基データをリファレンスとし、Kraken2を用いて分類群アノテーションを行なったところ、これまでに未同定だったリードの多くがウィルス由来のものであった。さらに、Baker et al.(2013)に準拠しつつ8μmのフィルターで濾過するという方法が、ヘビからのウィルス由来核酸の抽出法として最も効率的であった(全リード中9.4%がウィルス由来となった)。この研究に加え、マダニの仲間Amblyomma testudinariumがカメに寄生していることを発見したので、論文報告した。 (5)については、コロナウィルスの影響により、研究期間中の南アジアへの渡航が難しいと判断し、空輸の手配を開始した。スリランカについては、輸出許可を得ることができ、3月末に発送された(4月上旬に無事受け取った)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究目的のうち、(1)(2)(5)については順調に進展している。(1)(2)については、論文投稿を行い、国際的に影響力のあるジャーナルに採択された。 (5)については、コロナウィルスの流行継続により、残念ながら現地調査は実施できなかったが、共同研究者により政府への輸出許可申請が準備され、スリランカについてはスムーズに許可取得と実際の輸送が行われた。バングラデシュについても、現在、輸出許可申請手続きが進行している。さらに、インドとのブラーミニメクラヘビの全ゲノム配列決定が進むなど、共同研究が順調に実施されている。 (4)についても、メタバーコーディングの解析方法の改善により、ヘビからのウィルス核酸の抽出方法がおおよそ確立された。 唯一、(3)爬虫類・両生類以外のマダガスカル産脊椎動物にもBovBの水平伝播が生じているかの解明、については進展がない。この点については、ドイツとの共同研究を予定していたが、昨年度と同様コロナウィルスの影響が大きく、不可抗力な側面がある。 上記の点を総合し、概ね順調に進展していると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、(1)(2)について、受理された論文のプロモーションを推進し、本研究の成果を一般社会に広く発信する。 (3)の目的については、コロナ感染症が終息し、ドイツのMiguel Vences 教授(ブラウンシュバイク工科大学)の研究室への訪問が可能となった場合には、収蔵されているマダガスカル産脊椎動物(魚類・鳥類・哺乳類)標本について、PCRとシークエンスを行い、ヘビ型BovBの有無を明らかにする。なお、先方とは緊密に連絡を取り合っており、コロナウィルスが収束すれば、いつでも先方での実験が行える体制にある。 (4)については、確立した方法を用い、ヘビの組織・体液からウィルス画分の生成を継続する。また、ヘビから抽出されたウィルス由来核酸に、BovB配列が含まれているかについて、PCR法によって検査する。BovBが検出された画分にはBovBをゲノムにコードするウィルスが存在する可能性があるため、その画分については、大規模なショットガンシークエンスを行い、そのデータからウィルスゲノムのアセンブルを行う。 (5)については、スリランカ・バングラデシュから届いたメクラヘビ、スナヘビについて分類学的な研究を行う。標本に新種やこれまでにその地域での分布の記録がない種が含まれていた場合は、それらを記載する。さらに、これらのヘビ標本のBovBをシークエンスし、分子系統解析を行い、南アジア産のメクラヘビがマダガスカル・アフリカヘビ型のBovBを持っている理由を明らかにする。
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