研究課題
基盤研究(B)
日本を含む東アジアを中心として、島嶼部に分布する陸産貝類群集と、古代湖に分布する淡水貝類群集を構成する系統を対象として、これらの系統群の進化史を分子系統により網羅的に解明した。群集を構成する種のニッチ利用を推定いたほか、化石記録も用いて、過去のニッチ利用を推定し、系統関係との比較からその推移を推定した。その結果、陸域、淡水域ともに、海洋島的な性質を持つDarwinian islandの環境では、柔軟で急速なニッチシフトが起こりうること、しかし変化の方向性や幅には制約があることが示された。そしてこうした進化的な制約やニッチの保守性は、群集における生態的性質の分布に大きく影響すると結論できた。
地球温暖化が生態系にどのような影響を及ぼすかを予想することは緊急の課題であり、社会的な要請が大きい。本成果は、ニッチ保守性の存在により、条件によっては生物種の性質は容易には変化した環境に適応できず絶滅することを示している。これは他の環境条件からの制約のため、温暖化は従来考えられているよりも大きな絶滅を生じる可能性が高いことを意味する。この影響の過小評価を推定した点は本研究の大きな意義である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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