研究課題/領域番号 |
18H02722
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
加藤 総夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20169519)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2019年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 扁桃体中心核 / 痛覚変調性疼痛 / 化学遺伝学 / 中枢性感作 / 広汎性痛覚過敏 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 腕傍核 / 炎症性疼痛 / 光遺伝学 / シナプス伝達 / FosTRAP法 / 痛み / 扁桃体 / 三叉神経節 / 三叉神経脊髄路核 / 痛み特異的ニューロン / 三叉神経 / 慢性痛 / 痛み情動 / 脊髄後角 |
研究成果の概要 |
慢性の痛みの機構を解明するため,その成立における痛覚制御システムの可塑的な変調の役割の解明を目指した.顔面口唇部炎症性疼痛モデルが,約2週間持続する両側性下肢痛覚過敏を示す事実を見出した.この持続的痛覚過敏は,右扁桃体中心核(CeA)ニューロン活動の選択的抑制によって一過性に軽減した.一方,無傷動物において,右CeAニューロンの選択的興奮は,両側下肢に痛覚過敏を生じさせた.右扁桃体中心核の活動が,炎症や傷害の非存在下でも離れた広汎な部位に両側性の痛覚過敏を成立させる事実を示しており,これが心理的・社会的な要因による脳内の可塑的変調によって生じる身体のさまざまな部位の痛みの機構であると結論した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
扁桃体はストレスや有害な事象に応答して活性化する脳部位である.扁桃体中心核の活動が全身の痛覚過敏をひきおこすことを示した今回の発見は,心理的・社会的な要因が引き金となって身体のさまざまな部位に痛みが生じるメカニズムの一端を明らかにしたものと考えられる.このメカニズムの解明によって,既存の鎮痛薬での治療が難しいとされてきた,線維筋痛(症),舌痛症,非特異的腰痛などの,痛みの原因を明らかにできない慢性の痛み,あるいは,脳内のメカニズムが不明であることから「心因性」「原因がわからない」などと診断されて,的確な診療が難しかった慢性の痛みに対する診断と治療法の開発につながることが期待される.
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