研究課題
基盤研究(B)
担がんマウスを作製し、体重減少や骨格筋の萎縮から悪液質の誘発を評価した。ファイバー型顕微内視鏡技術により腫瘍内の微小環境や腫瘍細胞増殖活性と悪液質の惹起との関係を調べたところ、腫瘍内の低酸素領域の形成などの不均一性の出現が悪液質の誘発と関係することが見いだされた。特に、腫瘍内微小環境の変化が脳内神経炎症などを介して自律神経機能を低下させ、がん性疲労や悪液質を惹起することが示唆された。
がん関連疲労およびがん性悪液質は、がん患者にとって深刻な苦痛であり、さらにがん治療継続の意思決定にも強く関わるため、患者の予後に大きく影響する。こうした病態に対して医学的対策の重要性が認識されてきたにも関わらず、現在もその発生メカニズムは十分わかっておらず、予防・治療法も確立されていない。本研究により腫瘍内の環境と脳機能や全身臓器のはたらきとの関係が明らかになれば、がん関連疲労およびがん性悪液質の予防・治療法の開発が大きく前進するため、社会的意義はきわめて大きい。
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