研究課題
基盤研究(B)
IKZF3 G158R変異を有する新しい獲得免疫異常と、本疾患における病態を明らかにした。1例ではリンパ腫を発症し、BCL6の切断とNOTCH2の変異を認めた。対応する変異を有するノックイン(KI)マウスは、症例と同じ免疫細胞の異常を呈した。本変異はEMSAやレポーター遺伝子解析では機能喪失変異である。KIマウスの胸腺細胞を用いた解析でIKZF1/変異IKZF3が、通常IKZF1が会合する部位に結合しないこと、さらには新規部位への会合も検出されることが判明した。IKZF3変異によりIKZF1の機能阻害を呈したが、この病態はヘテロマー干渉阻害という、新規の疾患発症機構であることを明らかにした。
転写因子の変異では、その変異部位によって様々な表現型を呈することが知られている。研究ではIKZF3の変異が、IKZF1の機能を阻害するという新しい知見をえた。ヘテロマー干渉阻害と名付けた分子機構自体が、新しい概念である。生体内の数多くの分子は複合体を形成して機能していることを鑑みると、変異部位や種類によって、変異分子だけでなく複合体全体の機能に影響が及ぼされることが容易に想像される。この分子機構、ヘテロマー干渉阻害が当てはまる疾患はこれから数多く発見される可能性がある。治療の観点からは、ヘテロマー形成を阻害する方策が考えられ、今後の治療開発戦略にも有用な視点を与えると考えている。
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Nature Immunology
巻: accepted
臨床免疫・アレルギー科
巻: 70 ページ: 642-648
40021747602
血液フロンティア
巻: 28 ページ: 353-360