研究課題
基盤研究(B)
本研究は,薬剤性肺障害および特発性肺線維症急性増悪に関与する遺伝因子の同定を目的としている.日本人肺の脆弱性が指摘されている(1)薬剤性肺障害が他国(西洋や他のアジア人)より高頻度で見られ,高率に致死的な経過をたどること(2)肺線維症を有する患者で他国より高頻度に急性増悪が起こり,高い致死率を示すと推定されることが典型例である.薬剤性肺障害および特発性肺線維症急性増悪は医療に伴って発症するため,安全な医療の障害になる.我々は,それらに関与する遺伝因子を同定し,予防法,治療法を確立することを目的とした.患者,健常人の比較により,MUC4遺伝子が関連している可能性が示唆された.
日本人には肺障害が高率に発症する.2004年,肺がん治療薬ゲフィチニブが上市された直後から肺障害が多発した.ゲフィチニブによる肺障害は海外ではど報告されていない.特発性肺線維症急性増悪も,ゲフィチニブ肺障害同様,日本で高頻度に発生し,同じ病理像を示す.我々は,日本人特有の単一遺伝因子が薬剤性肺障害および特発性肺線維症の原因という作業仮説を設定し原因遺伝子を追求することとした.