クリプトコックス症の内因性再燃発症仮説の動物モデルを用いた検証と免疫機序の解明

• 研究課題/領域番号: 18H02851
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分54030:感染症内科学関連
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 川上 和義 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10253973)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2020年度)
• 配分額: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円); 2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円); 2019年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円); 2018年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
• キーワード: クリプトコックス / 潜伏感染 / メモリーT細胞 / 内因性再燃 / 免疫機序 / クリプトコックス症 / 動物モデル

研究成果の概要

近年、クリプトコックス症は潜在性感染後に免疫不全により内因性再燃すると考えられている。本研究では、クリプトコックスに特異的なT細胞抗原受容体を高発現するトランスジェニックマウスを用いて潜在性感染モデルの作成に成功した。潜在性感染状態では、本真菌が感染した多核巨細胞をともなう肉芽腫が肺内に形成され、TNF-αを発現したマクロファージとともに、MCP-1を発現したB細胞やT細胞が散在性に観察された。本モデルを用いることで、クリプトコックスの潜在性感染から内因性再燃に至る詳細な免疫機序の解明が期待される。

研究成果の学術的意義や社会的意義

近年、クリプトコックス症は潜在性感染後に免疫不全により内因性再燃すると考えられている。本研究では、我々が樹立した本真菌に特異的なT細胞受容体を高発現するトランスジェニックマウスを用いることで、この重要な臨床的課題へのアプローチを可能とする動物モデルの作成に成功した。さらに、本モデルを用いることで、潜伏感染時にみられる肉芽腫や多核巨細胞の形成・維持における免疫機序の一端を明らかに出来た。今後、より詳細な免疫機序を解明することで、臨床的に重要なクリプトコックス髄膜炎の発症病態の解明に迫ることが期待される。

研究成果

• [雑誌論文] Production of IL-17A at innate immune phase leads to decreased Th1 immune response and attenuated host defense against infection with Cryptococcus deneoformans (2020)
  • 著者名/発表者名: Sato K, Yamamoto H, Nomura T, Kasamatsu J, Miyasaka T, Tanno D, Matsumoto I, Kagesawa T, Miyahara A, Zong T, Oniyama A, Kawamura K, Yokoyama R, Kitai Y, Ishizuka S, Kanno E, Tanno H, Suda H, Morita M, Yamamoto M, Iwakura Y, Ishii K, Kawakami K
  • 雑誌名: The Journal of Immunology 巻: 205 号: 3 ページ: 686-698
  • DOI: 10.4049/jimmunol.1901238
  • 査読あり
• [雑誌論文] Limited Role of Mincle in the Host Defense against Infection with Cryptococcus deneoformans (2020)
  • 著者名/発表者名: Sato Y.、Sato K.、Yamamoto H.、Kasamatsu J.、Miyasaka T.、Tanno D.、Miyahara A.、Kagesawa T.、Oniyama A.、Kawamura K.、Yokoyama R.、Kitai Y.、Umeki A.、Ishizuka S.、Takano K.、Shiroma R.、Nakahata N.、Kawakami K.、Kanno E.、Tanno H.、Yamasaki S.、Hara H.、Ishii K.、Kawakami K.
  • 雑誌名: Infection and Immunity 巻: 88 号: 11 ページ: 1-14
  • DOI: 10.1128/iai.00400-20
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Novel Toll-Like Receptor 9 Agonist Derived from Cryptococcus neoformans Attenuates Allergic Inflammation Leading to Asthma Onset in Mice (2020)
  • 著者名/発表者名: Dobashi-Okuyama Kaori、Kawakami Kazuyoshi、Miyasaka Tomomitsu、Sato Ko、Ishii Keiko、Kawakami Kaori、Masuda Chiaki、Suzuki Syugo、Kasamatsu Jun、Yamamoto Hideki、Tanno Daiki、Kanno Emi、Tanno Hiromasa、Kawano Tasuku、Takayanagi Motoaki、Takahashi Tomoko、Ohno Isao
  • 雑誌名: International Archives of Allergy and Immunology 巻: 181 号: 9 ページ: 651-664
  • DOI: 10.1159/000508535
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Dectin-2-mediated signaling triggered by the cell wall polysaccharides of Cryptcoccus neoformans (2019)
  • 著者名/発表者名: Daiki Tanno, Rin Yokoyama, Kotone Kawamura, Yuki Kitai, Xiaoliang Yuan, Keiko Ishii, Magdia De Jesus, Hideki Yamamoto, Ko Sato, Tomomitsu Miyasaka, Hiroki Shimura, Nobuyuki Shibata, Yoshiyuki Adachi, Naohito Ohno, Sho Yamasaki, Kazuyoshi Kawakami
  • 雑誌名: Microbiology and Immunology 巻: 63 号: 12 ページ: 500-512
  • DOI: 10.1111/1348-0421.12746
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] 深在性真菌症の感染危険因子と病態 (2018)
  • 著者名/発表者名: 川上和義
  • 雑誌名: 化学療法の領域 巻: 34 ページ: 71-79
• [学会発表] 感染症研究のすすめ －免疫学的視点からみた真菌感染症の理解－ (2020)
  • 著者名/発表者名: 川上和義
  • 学会等名: 第94回日本感染症学会総会・学術講演会
  • 招待講演
• [学会発表] クリプトコックス感染防御におけるTight junctionタンパク質欠損の影響 (2020)
  • 著者名/発表者名: 佐藤光, 笠松純, 山本秀輝, 石井恵子, 川上和義
  • 学会等名: 第94回日本感染症学会総会・学術講演会
• [学会発表] クリプトコックス感染の自然免疫時相におけるメモリー、エフェクターT細胞からのIFN-γ産生 (2020)
  • 著者名/発表者名: 中畑那奈, 梅木彩, 佐藤光, 笠松純, 山本秀輝, 石井恵子, 川上和義
  • 学会等名: 第94回日本感染症学会総会・学術講演会
• [学会発表] 真菌免疫学研究の発展と真菌症発症病態の理解 (2020)
  • 著者名/発表者名: 川上和義
  • 学会等名: 第64回日本医真菌学会・学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] クリプトコックス及び結核菌感染に対するTh1免疫応答を介した感染防御機構 (2020)
  • 著者名/発表者名: 佐藤光, 川上和義
  • 学会等名: 第64回日本医真菌学会・学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] グルコシルセラミドを標的としたクリプトコックスワクチン開発のための基礎的検討 (2020)
  • 著者名/発表者名: 笠松純, 佐藤光, 北井優貴, 石井恵子, 川上和義
  • 学会等名: 第64回日本医真菌学会・学術集会
• [学会発表] クリプトコックス内因性再燃モデルマウスの作成と免疫機序の解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 梅木 彩、笠松 純、佐藤 光、臼田 薫、石井恵子、川上和義
  • 学会等名: 第93回日本感染症学会総会・学術講演会
• [学会発表] Effect of Claudin-18 deficiency on is involved in the host defense to pulmonary infection with Cryptococcus neoformans (2019)
  • 著者名/発表者名: Ko Sato, Jun Kasamatsu, Keiko Ishii, Kazuyoshi Kawakami
  • 学会等名: 第48回日本免疫学会学術集会
• [学会発表] Critical role for Dectin-2-mediated signaling in the engulfment of Cryptococcus neoformans by dendritic cells (2019)
  • 著者名/発表者名: Kazuyoshi Kawakami, Yuki Kitai, Keiko Ishii, Hiromitsu Hara, Shinobu Saijo, Sho Yamasaki, and Yoichiro Iwakura
  • 学会等名: The 17th International Congress of Immunology
  • 国際学会
• [学会発表] Distinct activation of Dectin-2-mediated signaling by capsular polysaccharides from Cryptococcus neoformans and C. gattii (2019)
  • 著者名/発表者名: Xiaoliang Yuan, Daiki Tanno, Kotone Kawamura, Keiko Ishii, Magdia De Jesus, Sho Yamasaski, Kazuyoshi Kawakami
  • 学会等名: The 17th International Congress of Immunology
  • 国際学会
• [学会発表] Role of C-type lectin receptors in the host defense to infectious pathogens (2019)
  • 著者名/発表者名: Kazuyoshi Kawakami
  • 学会等名: 第92回日本生化学会大会
  • 招待講演
• [学会発表] CARD9-dependent accumulation of effector and memory phenotype T cells expressing IFN-γ in the lungs at the early stage after infection with Cryptococcus neoformans (2019)
  • 著者名/発表者名: Aya Umeki, Nana Nakahata, Takeshi Shinomiya, Ko Sato, Jun Kasamatsu, Keiko Ishii, Hiromitsu Hara, Kazuyoshi Kawakami
  • 学会等名: 第48回日本免疫学会学術集会
• [学会発表] 樹状細胞によるC. neoformans貪食におけるDectin-2の関与とシグナル伝達経路の検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 北井優貴、平田大実、石井恵子、川上和義
  • 学会等名: 第93回日本感染症学会総会・学術講演会
• [学会発表] クリプトコックス感染におけるIL-17Aを介したTh1免疫応答の制御と防御機構への影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 光、山本秀輝、石井恵子、川上和義
  • 学会等名: 第93回日本感染症学会総会・学術講演会
• [学会発表] クリプトコックス感染の自然免疫時相におけるIFN-γ産生機構の解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 梅木 彩、中畑那奈、佐藤 光、笠松 純、山本秀輝、石井恵子、 川上和義
  • 学会等名: 第68回日本感染症学会東日本学術集会・第68回日本化学療法学会東日本支部総会
• [学会発表] Role of Dectin-2 in actin polymerization and phagocytosis of Cryptococcus neoformans by dendritic cells (2018)
  • 著者名/発表者名: Kitai Yuki, Hirata Hiromi, Ishii Keiko, Hara Hiromitsu, Saijo Shinobu, Iwakura Yoichiro, Kawakami Kazuyoshi
  • 学会等名: 第47回日本免疫学会学術集会
• [学会発表] 樹状細胞によるDectin-2を介するCryptococcus neoformans貪食機構の解析 (2018)
  • 著者名/発表者名: 北井優貴, 平田大実, 石井恵子, 川上和義
  • 学会等名: 第62回日本医真菌学会総会・学術集会
• [学会発表] クリプトコックス莢膜多糖成分によるDectin-2刺激経路の活性化 (2018)
  • 著者名/発表者名: 高野和希, 川村琴音, 丹野大樹, 中平絢子, 石井恵子, Magdia De Jesus, Arturo Casadevall, 安達禎之, 大野尚仁, 山崎 晶, 川上和義
  • 学会等名: 第29回日本生体防御学会学術総会
• [図書] 内科学書 改訂第9版 (2019)
  • 著者名/発表者名: 川上和義
  • 出版者: 中山書店
• [図書] 呼吸器疾患最新の治療 2019-2020 (2019)
  • 著者名/発表者名: 川上和義
  • 出版者: 南江堂
• [図書] 臨床呼吸器感染症 (2019)
  • 著者名/発表者名: 川上和義
  • 出版者: 南江堂
• [図書] 呼吸器疾患最新の治療2019-2020 (2019)
  • 著者名/発表者名: 川上和義
  • 総ページ数: 534
  • 出版者: 南江堂