研究課題
基盤研究(B)
痛みストレスや脳内報酬系の亢進による“末梢-脳-末梢”連関を介した腫瘍免疫修飾機構を科学的に解明する目的で、脳内ストレス応答性神経や脳内報酬系の神経ネットワークの賦活による脳-腫瘍免疫連関について解析を試みた。その結果、生体のストレス応答の起始核である視床下部室傍核コルチコトロピン放出ホルモン神経の活性化により、がん病態の悪化が認められた。一方、脳内報酬系を司る中脳辺縁ドパミン神経細胞の投射先である側坐核 D1-受容体含有神経の特異的活性化により抗腫瘍効果が認められた。こうした腫瘍増殖調節機構には、遠心性機構が働き、脾臓内免疫細胞の機能変容に伴うがん免疫の制御が関連している可能性が示唆された。
痛みストレスによる腫瘍免疫に及ぼす影響や脳内報酬系の亢進による免疫回復機構を解析する研究ベクトルは、国内外でもほとんど行われていない。痛みやストレスによる“末梢-脳-末梢”連関を介した腫瘍免疫修飾機構や快楽刺激による腫瘍免疫制御機構を解析することにより、がん症状緩和の新たなアプローチを提示できる。がん治療におけるがん支持療法・緩和医療の意義、有用性を科学的に解析することを目的とする本研究は、超高齢社会・がん共存社会において極めて重要性が高い。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Molecular Brain
巻: 15 号: 1 ページ: 17-17
10.1186/s13041-022-00902-1