研究課題
基盤研究(B)
精子幹細胞は持続的に自己複製分裂し精細管内に移植すると精子を産生できる。本研究では新しい不妊症治療の開発を目指し、ヒト精子幹細胞の操作技術を検討した。ヒト精原細胞の表面抗原を検索しCXCR4の発現を見出した。また小分子化合物ライブラリーを用いて精原細胞の分裂を促す化合物の検索や、精子幹細胞の自己複製因子GDNFのファミリー分子であるARTN、NRTN, PSPNなどや、FGFのファミリー分子、精原細胞の生存に関わるとされるBMPファミリー分子などの検索を行った。これらの結果をもとに、GFRA3のリガンドARTNなどを加え培養したところ試験管内で2ヶ月以上持続するコロニー形成が認められた。
小児悪性腫瘍患者の生存率は近年向上したが、放射線治療や薬物療法の副作用として不妊になるケースが多い。精子凍結ができない小児患者の妊孕性を担保する方法として、あらかじめ精子幹細胞を凍結保存し治療後に精細管内へ移植する試みが海外にて進められている。しかし小児精巣から採取できる精子幹細胞は極めて少なく、試験管内にて増幅する技術が必要とされている。また培養を行うことで悪性腫瘍細胞の混入を防ぐことができるという利点もある。本研究の成果はヒト精子幹細胞の試験管内増幅技術の確立のために不可欠であるヒト精子幹細胞のマーカー分子や増殖を促す因子を同定した点で、学術的・社会的意義がある。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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