研究課題/領域番号 |
18H03202
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山内 由紀子 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (10546518)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2018年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 分散アルゴリズム / 自己組織化 / モバイルロボット / ドローン / モバイルロボット群 / モジュールロボット / 分散協調 / 分散システム / モバイル計算主体群 / 相互作用 / 匿名性 / 対称性 / 自律適応性 / 局所性 / 移動性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,計算主体間の相互作用が分散協調において果たす役割の解明である.従来の分散システムモデルで想定されていた計算機間のメッセージ通信だけではなく,ロボット群などのモバイル計算主体群モデルにおける移動や観測など,様々な相互作用を研究対象とすることで,単一の分散システムモデルでは発見できなかった分散協調の原理を系統的,効率的に発見することを目指し,(i) 計算主体の匿名性により生じる対称性と相互作用の関係の解明,(ii) 観測や移動による相互作用の局所性,並列性に対して,記憶が果たす役割の解明,(iii) 簡潔な分散アルゴリズムの実現に取り組む. 令和4年度と研究費繰越を行った令和5年度は(ii),(iii) に取り組み,以下の結果を得た.(a)自律的に移動するモバイルロボット群によって,オブジェクトの欠損部分を充填し,オブジェクトの凸包を形成する分散アルゴリズムを得た.この成果は,円盤状のロボット自身やオブジェクトが観測の妨げとなる状況下での分散協調の可能性を示した.(b)モバイルロボットが自覚できない故障の程度などをロボットの色と考え,ロボットを色ごとに分離する分散アルゴリズムを得た.この手法は,モバイルロボット群システムの自己診断や自己修復への応用が期待できる. (c)自律的に移動するモジュールが集合的に形成するモジュールロボット2台が,フィールド中を移動しながら集合するランデブー問題について,分散アルゴリズムを得るとともに,ランデブー問題を解くために必要なモジュール数や観測範囲を示した.この結果は,複数のモジュールロボットの分散協調を初めて提案し,さらに,ランデブー問題を解くために必要なモジュールロボットの状態数(メモリ)や相互作用の程度を示すものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で挙げていた以下の2つの課題について成果を挙げている.(i) モジュールロボットの新しい分散協調問題としてランデブー問題を提案し,解法とともに,問題を解くために必要な記憶や相互排除の程度を明らかにした.(ii) モバイルロボット群の分離問題を提案し,解法を示した.特に,(ii) については国際会議で口頭発表を行った. さらに,相互作用,つまり観測の妨げとなるロボットの体積やオブジェクトを想定した凸包充填問題についても解法を提案し,成果を挙げている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を迅速に国際会議,論文誌に投稿する.これまでの研究成果をもとに,最終年度では従来のモバイル計算主体群の計算モデルにハードウェア特有のバッテリ制約やセンシングの誤差,通信などの機能を取り入れ,分散アルゴリズムの提案や分散協調の限界を示す.
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