研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、高強度光学レーザー生成内殻電離プラズマを用いたX線増幅の物理機構の解明である。まず、信号スペクトルと参照スペクトルを比較することでX線スペクトルの変化をシングルショットで診断することができる、空間分解シングルショットスペクトロメーターを開発した。更に、このスペクトロメーターを用いて、ハイパワーフェムト秒レーザー生成プラズマを透過したXFELのスペクトル計測を行った。X線増幅は観測されなかったが、フェムト秒~ピコ秒領域におけるプラズマ中のイオンの束縛電子の挙動を調べることができた。この成果は、プラズマ中のゲイン形成の解明のために重要な知見である。
XFEL利用研究では、超高速の化学や物質科学、生物学、X線非線形光学等の幅広い分野において顕著な成果が創出されている。従来の加速器科学ではなく、反転分布を利用するレーザー科学の方法を用いてXFELの出力増大を目指す本研究は、これからのX線レーザーの発展にとって非常に意義がある。また、そのゲイン媒質として利用するプラズマについて、本研究では、フェムト秒時間分解のX線吸収分光計測を実施し、過渡的な電離状態を明らかにした。これは、これまで計測が不可能であったプラズマの超高速現象を初めて観測したものであり、今後の高エネルギー密度科学の発展に寄与することが期待される。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Review of Scientific Instruments
巻: 92 号: 5 ページ: 053534-053534
10.1063/5.0040899