研究課題
基盤研究(B)
本研究では、研究代表者が確立した脂肪血管標的型ナノDDSを用い、脂肪組織の血管内皮細胞に選択的にアポトーシスを誘導することで、脂肪組織に抗炎症性マクロファージが増加することを明らかとした。また、肥満に伴う脂肪組織に高発現するCYP1B1を標的として、その選択的阻害剤を搭載したナノDDSを用い、肥満に伴う脂肪組織の異常な血管新生を阻害できること、さらにマクロファージの浸潤も顕著に抑制できることを明らかとした。
肥満の脂肪血管でCYP1B1が高発現していることを初めて見出し、さらにその選択的阻害剤を搭載したナノDDSを構築して、肥満に伴う脂肪組織の異常な血管新生とマクロファージの浸潤を有意に抑制することに成功した。脂肪組織に栄養と酸素を供給する血管の増加こそが脂肪組織に慢性的な炎症状態をもたらす病態の本質であることを示す重要な手がかりとなる。本研究で得られた知見を応用することで、肥満に伴う脂肪組織慢性炎症を根本的に解消する新たな治療法の開発につながることが期待される。