研究課題
基盤研究(A)
琵琶湖西岸の喜撰川に分布する古琵琶湖層群堅田層からKT1、KT2、KT3の3本のボーリングコアを採取した。テフラ分析により識別、対比した5層のテフラとコアに挟在する厚い砂礫層を鍵層としたコア間対比により、3本のコアで約87~70万年前をカバーする連続堆積物が得られた。古地磁気分析からはKT1コアの深度約35mとKT2コアの深度約55mにMB境界の上限を確認し、花粉分析からはその上位に最温暖期が確認された。MB境界の上限は酸素同位体層序のMIS19.2にあるため、この違いは、MIS19のピーク(MIS19.3)の認定において花粉分析に基づく気候層序と古地磁気層序の間にある年代的なずれを示唆する。
近畿地方内陸部の代表的な第四紀層である古琵琶湖層群において、最新の地磁気逆転層準である松山-ブリュンヌ(MB)境界を確立し、MB境界における古地磁気変動の詳細を一部ではあるが示すことができた。MB境界においては、地磁気弱化による気候の冷涼化が大阪湾1700mコアを用いた研究で指摘されていた。本研究では、陸成層である古琵琶湖層群堅田層でもMB境界前後の気候変動に酸素同位体層序で示される地球規模の気候変動とのずれが確認され、中緯度地域の気候に対する地磁気変動の影響を支持する結果が得られた。これは、現在の地球温暖化に影響する要因の一つとして地磁気を評価する必要性を示すものと考えられる。
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