研究課題
基盤研究(A)
古琵琶湖層群堅田層から採取したKT1コアの古地磁気測定とテフラ分析の結果を再検討して1m分のコアの上下が逆転していたことが明らかになり,KT1コア中のバイオタイトI(Bi-I)テフラ降灰層準を深度約63mに修正した.堅田層の陸上露頭とKT1~KT3コアで確認された全てのテフラの重鉱物組成や火山ガラス・重鉱物の屈折率などの岩石記載的特徴を分析し,露頭と各コア間のテフラ対比や,東灘1700mコアおよび房総半島の上総層群国本層に挟まれるテフラとの広域対比を確立した.さらに今熊ⅡテフラのジルコンU-Pb年代測定を行い,その降灰年代が70~72万年前であると推定した.KT2コアの深度5~60m間の古地磁気分析を進め,今熊Ⅱテフラ直上までの古地磁気変動を明らかにした.深度55m付近に確認されていた松山・ブリュンヌ(MB)境界の上位にはエクスカーションを確認できなかった.古地磁気強度はMB境界で弱く,その直上で強くなった後に弱まるという変動を示し,これまでの研究報告と同様な強度変動があることを確認した.地磁気の逆転メカニズムやMB境界を含む中期更新世気候転換期における気候変動については,東ヨーロッパのレス堆積物や水月湖コアを対象としても検討を行った.丹後半島中部に分布する黒部貝層の掘削調査を行い,海成粘土層中のサルボウ化石を採取してESR年代測定とICP-MSを用いたU濃度の高精度測定を行った.貝化石のESR年代は約12.6万年前であり,これまでの測定結果と一致した.粘土層中の貝化石のU濃度は極微量でγ線スペクトル法による測定限界未満であり,貝化石中のU濃度は砂質粘土層で高いことが再確認された.
4: 遅れている
コロナ感染拡大抑制のための研究協力機関の利用制限が継続し,古地磁気分析や火山ガラスの主成分・微量成分分析が予定通りに進められていない。その結果,花粉分析が必要な層準が確定できず,KT1コアやKT2コアの分析が進められていない.
研究協力機関の利用制限に対応しつつ,KT1コアとKT3コアの古地磁気分析を進め,3本のコア全体の古地磁気変動を明らかにし,コア間での古地磁気変動の共通性を確認するように進める.KT1コアの分析を優先して実施し,その結果に基づいて松山・ブリュンヌ境界の花粉分析を委託実施する.火山ガラスの主成分・微量成分分析については,研究機関との協力体制が確認できたので,次年度に結果を得られるように進めたい.
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