研究課題/領域番号 |
18H03641
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐々木 宏夫 早稲田大学, 商学学術院(会計研究科), 名誉教授 (30196175)
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研究分担者 |
山邑 紘史 駒澤大学, 経営学部, 准教授 (00610297)
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
瀋 俊毅 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (10432460)
河野 正治 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (20802648)
里見 龍樹 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (30802459)
高瀬 浩一 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (50289518)
中丸 麻由子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70324332)
大川内 隆朗 日本大学, 文理学部, 助教 (70548370)
大和 毅彦 東京工業大学, 工学院, 教授 (90246778)
下村 研一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (90252527)
及川 浩希 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90468728)
横山 和輝 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (60313459)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
43,810千円 (直接経費: 33,700千円、間接経費: 10,110千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2021年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2020年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2019年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2018年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 経済実験 / 仮想通貨 / フィールド調査 / 社会的資本 / 伝統的共同体 / 公共財 / 投資メンテナンス / 民間金融 / 無尽 / 信用創造 / 負の外部性 / ドル化 |
研究実績の概要 |
本研究はミクロネシア地域を対象としており、現在、ミクロネシア連邦(Federated States of Micronesia: FSM)を最初の対象国として研究を推進中である。今(2021)年度後半に、東工大とグアム大の実験結果について、山邑がオペレーションズ・リサーチ学会において発表した。現在、これまでの実験結果に加え、昨年度末(2021年3月)に早稲田大で実施した実験結果を合わせて分析と解析を進め、学術論文執筆の準備中である。今年度前半に予定していた現地コーディネーターによるポンペイ島住民に対する調査は、島内の新型コロナによる厳しい行動制限が継続し、次年度以降に延期せざるを得なくなった。昨年度から実施された鎖国政策が一貫して継続され、同島にあるミクロネシア大学(College of Micronesia: COM)本校での経済実験の今年度実施は断念せざるを得なくなった。その代替・補完的な候補地として、同じミクロネシア地域にあり、FSMの西側に位置し、1人当たりGDPが途上国レベルを超えるまでに発展した、パラオ共和国での経済実験の可能性も模索することになった。WEBベースによるミクロネシアでの調査や実験仕組みの開発は、これまで先進国で実施されてきた典型的な囚人のジレンマゲームや最後通牒ゲームなどを、現地独自の生活様式や社会構造にどのように適合するかについて議論した。メンテナンス・ゲームの改訂については様々なゲーム形式について議論し、理論的な課題を解決し、実装のためのアプリ改訂の準備を進めた。心理学的研究のタスクフォースは、東工大、グアム大、早稲田大で実施された心理学的調査結果の分析を進め、文化人類学的研究のタスクフォースは、これまでメンバーが蓄積してきたFSMに関する文化人類学的知見のシミュレーション分析への応用について、活発に議論を展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アメリカやヨーロッパにおいて、新型コロナのワクチン開発が革新的に進化し、先進国を中心に、ワクチンの大量生産と全人口対象の接種が急速に進んだ。日本では、ワクチン接種がゆっくりとしたペースで始まり、徐々にスピードを上げ、最終的には、ほぼ全人口をカバーするまで行き渡った。ただし、新型コロナにも次々と新しい変異株が発生し、日常生活は大きな流行の波に左右されるようになり、厳しい行動制限が解除されることはなかった。大学においても、授業が原則オンラインから、少しずつではあるが、対面授業が増えてきたが、依然として、厳しいコロナ対策に追われた。このような状態の中、本研究メンバーはこれまでの東工大、グアム大、早稲田大での実験結果の分析を着実に進め、現地コーディネーターによる調査を準備し、メンテナンス・ゲームのアプリのアップデートを行い、タスクフォースによる他の共同研究課題を推進し、できる限り研究を前進させてきた。しかしながら、本研究の中心的テーマである、ミクロネシア地域での調査と実験は実施できていない状況である。今(2021)年度中、FSMを事実上鎖国状態とする入国制限は一貫して継続された。そのため、同年8月に現地調査を実施し、その調査結果を前提として、11月にCOM本校での経済実験を実施する予定は来年度以降に延期せざるを得なくなった。8月の現地調査を代替するため、現地コーディネーターによるFSMのポンペイ島住民に対する調査の準備を進め、英語と現地語による質問票は作成できたが、最終的には、この調査もキャンセルすることになった。ポンペイ州政府が新型コロナ対策として島内での行動制限を維持し、さらに、ワクチン接種もゆっくりとしたペースでしか進まず、島内の住民がこのようなアンケートを受ける状況になかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度となるため、これまでの経済実験結果を学術論文に纏め、学会やセミナーで積極的に発表し、国際的なジャーナル投稿に投稿する。さらに、本研究で実施してきた複数の共同研究課題の成果を学術書に纏め、国内外で発行する準備を進める。また、本研究プロジェクトでは、従来からセミナー(通称「金曜セミナー」:第2・4金曜日)を主催し、学内外の有力な研究者を招聘することにより、経済学と関連分野の研究フロンティアの共有に努めてきた。しかし、新型コロナの影響から、昨年度はほぼ休止となった。今年度からZoomのみ開催から再開し、回数を徐々に増加させてきた。来年度はワクチン、治療薬、治療法など、新型コロナ対策が進み、行動制限も徐々に緩和される状況を踏まえて、Zoomと対面のハイブリッド開催を原則にして、一昨年以前と同様の頻度で開催していきたい。当然ながら、来年度はFSMでの入国制限が解除される時期に合わせて、現地での調査と実験が可能になるよう準備を進める。具体的には、来年度5月に全体会議を実施し、今後の本研究全体の計画を決定する。FSMのポンペイ島での現地調査を実施するため、春学期中に準備を進め、夏季休暇中にメンバーがFSMに出張し、調査を行う。その後、その知見を踏まえて、FSMのCOM本校での実験を実施するため、秋学期中に準備を進め、冬期、あるいは、春季休暇中に、FSMにおいて経済実験を実施する。最終年度のため、本プロジェクトの遅れを取り戻すべく、この実験結果の分析と解析はできるだけ迅速に行い、速報的な広報を含めて、研究成果の積極的な公表に努めていきたい。万が一、FSMの鎖国状態が長期間継続される、あるいは、COMの人事的再配置により実験協力・管理体制が大きく崩れてしまう場合、東工大や早稲田大でのパイロット実験を実施した上、グアムやパラオなど代替地での実験実施の可能性もあるだろう。
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