研究課題/領域番号 |
18H03666
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
苧阪 満里子 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (70144300)
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研究分担者 |
苧阪 直行 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (20113136)
源 健宏 島根大学, 学術研究院人間科学系, 准教授 (40611306)
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70253242)
坪見 博之 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (70447986)
内藤 智之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90403188)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
44,070千円 (直接経費: 33,900千円、間接経費: 10,170千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2019年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2018年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | ワーキングメモリ / デフォルトモードネットワーク / ワーキングメモリネットワーク / 社会脳 / 脳内機構 / 安静時ネットワーク / 脳 / 個人差 / AI / fMRI / 深層学習モデル / fNIRS |
研究実績の概要 |
社会脳は自己と他者を結び、豊かな社会性を支える脳の働きである。本研究計画では、脳ネットワークの中でも認知脳の中心となるワーキングメモリネットワーク(WMN)と、安静時ネットワークの中心となるデフォルトモードネットワーク(DMN)の相互作用を解明することを目標とした。 研究代表者の苧阪はfMRIを用いて、安静時とワーキングメモリ課題遂行時の脳活動を測定することにより、DMNとWMNの特徴が、高得点群では低得点群に比較して、安静時にDMNの活動が高くなる知見を得た。一方、低得点群では、安静時においても、DMN以外の他のネットワークの活動が高いことがわかった。 また、共同研究者の源は、fNIRSを用いて社会脳にかかわる自己参照課題遂行中の大脳皮質間の機能的結合強度を分析したところ、自己参照条件における結合強度が他者参照条件における結合強度よりも強いという結果を得た。さらに苧阪直行はソーシャル・インタラクション(社会的相互作用)を通して、自他が新たな社会の創発に向けて互いの心を協調させる脳の働きについて検討した。視覚性ワーキングメモリについては、坪見が目的志向的に情報を保持しており、利用後には不必要になった情報を消去していることを行動実験とともに脳波実験からも検討している。また、情報のずれについても検討した。さらに齊藤は、社会的ワーキングメモリについて検討し、記憶制御に関わるレビュー論文を執筆し学会誌に掲載した。また、ワーキングメモリが担う目標保持に関する研究及びワーキングメモリが関わる実行機能における言語の役割を検討した研究を国際誌に掲載した。内藤はAIを用いて、こうした脳内ネットワークの表現の可能性について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響により、人を対象とする脳波、fMRI等の実験が困難になったが、行動実験などで実験計画を再調整して、計画を進めている。また、認知脳の中心となるワーキングメモリネットワークと、安静時ネットワークの中心となるデフォルトモードネットワークの相互作用の解明については、若年者のみならず、ワーキングメモリの低下が顕著である高齢者についても検討を進めている。さらには、これまでの研究成果をまとめることが順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
安静時とワーキングメモリ課題遂行時のネットワーク解析に基づいて、安静時とワーキングメモリ課題遂行時のワーキングメモリネットワークとデフォルトモードネットワークの相互作用を明らかにする。また、両ネットワークの特徴を、高齢者について検討を加え、ワーキングメモリの低下に伴う両ネットワークの変化を明らかにする。加えて、社会性に関わるワーキングメモリ(社会性ワーキングメモリ)の評価法の開発にも取り組む。社会性ワーキングメモリと認知性ワーキングメモリ課題を開発して、それぞれの個人差がどのように関連するかを調べることにより、社会脳と認知脳の相互作用を探索する。 また、社会脳とかかわる自己参照課題遂行と他者参照課題の大脳皮質間の機能的結合強度についての比較結果を論文としてまとめる。さらに、社会脳と認知脳の相互作用と意識とのかかわりについて、その脳の基盤についての結果をまとめ、社会脳とワーキングメモリが意識とどのように関連するのかを考察する。 視覚性ワーキングモリをついては、目的志向的な情報処理と保持におけるずれなどの特徴について、言語性ワーキングメモリとの比較検討についてまとめる。 社会性ワーキングメモリについてはさらに、社会的ワーキングメモリと記憶制御、特に実行系機能制御にかかわる言語の役割についてまとめることが計画されている。また、AIを用いた研究では、人を対象に課題遂行した時とAIによりワーキングメモリ課題の処理を推定した場合における近似性についてもまとめる予定である。
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