研究課題
基盤研究(A)
本研究では、(1)大気球太陽望遠鏡SUNRISEで高解像度かつ精密な偏光観測を実施するとともに、(2)電磁流体数値シミュレーションによる太陽光球・彩層のモデリングを行い、観測とモデリングの両面から光球・彩層における磁気エネルギー変換プロセスを明らかにする。SUNRISE気球望遠鏡に搭載する近赤外線偏光分光装置SCIP(スキップ; SUNRISE Chromospheric Infrared spectroPolarimeter)を構成する光学素子の設計を実施した。特に、SCIPの結像性能の鍵を握る高精度軸外非球面鏡と偏光分光性能の鍵を握る偏光ビームスプリッタの設計を、全体の波面誤差バジェットを考慮して行い最終仕様を確定させた。平成30年度中にフライト品の製作を行い、結像性能・偏光性能の評価を行うことで、要求する性能を満足することを実証する計画である。そのため、光学素子評価のための試験設備の構築を進めており、計算機、データロガー、裏面照射CMOSカメラからの画像取り込み装置などを導入した。これらは、平成31年度実施予定のSCIP光学系の組み立て光学調整や、気球飛翔時に想定される温度環境を模擬した熱試験に使用する計画である。SCIPの設計状況について、国際光工学会(SPIE)にて講演した。電磁流体数値シミュレーションによる太陽光球・彩層のモデリング研究では、太陽表面の渦状流によって発現するねじれた磁場構造が駆動するジェット現象を3次元数値計算で再現し、非局所熱平衡輻射輸送計算を行った。これにより、SUNRISEの高い偏光測定精度によって、ジェット付け根の3次元的な磁場構造をとらえられることを示すことができた。国際会議で成果を発表予定であり、さらに論文を執筆中である。SCIPを協同開発するスペインのグループと、観測ターゲットの検討も開始した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)