研究実績の概要 |
ハイブリッドカスケード光電荷変調素子HyCAMをバイオメディカルイメージングに応用する上で, 光電荷変調素子を用いた時間分解ピクセルの共通原理として, 多窓時間分解の特徴を生かした計測アルゴリズム及び応用実験のための基礎的課題について先行して,研究を進めていくことが重要である. そこで,本年度は, 本課題廃止までの約3か月の期間で, これらの観点で研究を実施し, 以下の成果を得た. 時間分解イメージセンサにより生体光散乱を計測する際,システム関数を補正するために既知の光学パラメータをもつファントムが必要になる.基材としてシリコーンを用い,散乱係数および吸収係数の制御にそれぞれ酸化チタン粉末,インディアインクを用い,均一で気泡を含まないファントムの製造法を確立した. 時間分解イメージセンサを蛍光寿命イメージングに適用して動作検証するために,市販の実体顕微鏡に光ファイババンドルを介して任意波長の励起光短パルスを導入するための機構を開発した.波長375nm, 405nm, 450nmについて,顕微鏡下で試料を均一に照明できることを確認した. 時間分解CMOSイメージセンサをナノ秒以下短パルス光と組み合わせることで,光飛行時間距離計測,光散乱計測,蛍光寿命計測を時間領域で行うことができる.イメージセンサにより得られた時間情報を画素単位で高速フーリエ変換し,ある時間周波数成分を正規化して複素平面上にプロットするフェーザプロットにより,視覚的に解釈しやすい表現が可能となる.システム関数の補正,反復投影法によるデコンボリューションの機能を内蔵した汎用的なフェーザプロットソフトウェアを開発し,その有用性を検証した.
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