研究課題
基盤研究(A)
本研究では、ZnS、ZnTe等におけるすべり転位を第一原理計算により解析し、これらの結晶が示す光環境に依存した大塑性変形の起源を解明することを目的とした。ZnS結晶中のすべり転位は、積層欠陥を介して部分転位に分解している。基底状態での部分転位コアは、未再構成構造となるが、過剰なキャリアの存在下で再構成することがわかった。転位コアの再構成は、転位の移動度低下をもたらすと考えられる。よって、転位コアによるキャリアトラップと原子配列再構成という転位量子構造こそが、同結晶の光照射による硬化現象の起源であると考えられる。また、ZnTe結晶も同様な結果となることがわかった。
セラミックスは、他の材料にない優れた物性を持つ材料であるが、その脆い機械的性質がさらなる応用を阻んできた。しかし最近の研究で、光の有無によって、機械的性質が劇的に変化する無機結晶が存在することが判明した。本研究では、その代表例である硫化亜鉛結晶を主たる対象とし研究を進めたところ、その現象の起源がすべり転位という格子欠陥の局所的な電子状態にあることを明らかにした。この知見を活かした、材料合成や加工方法への応用とそれに伴う新たな展開が期待できる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件)
MATERIALS TRANSACTIONS
巻: 60 号: 1 ページ: 99-104
10.2320/matertrans.M2018253
130007550007