研究課題
基盤研究(A)
様々な生体機能に認められる概日リズムは薬物の効果や副作用に影響を及ぼす。このような投薬時刻依存的な変化は、吸収・分布・代謝・排泄など薬物動態の時刻変動に起因する場合もある。実際、一部の薬物輸送トランスポーターや代謝酵素の発現や機能も概日リズムを示し、医薬品の体内挙動に時刻の違いによる変動を生じさせる。本研究ではヒト腎細胞や肝細胞を用いて、トランスポーターや代謝酵素の概日変動がRNA編集酵素(ADAR)によって引き起こされていることを見出した。ADARは転写・翻訳・スプライシングバリアントの形成などのタンパク質発現の各過程を介して、薬物動態関連因子を発現や機能を制御していることが明らかになった。
本研究の成果によりADARが多岐に渡るメカニズムによって主要なトランスポーターや代謝酵素の概日リズムや機能を制御していることが明らかになり、医薬品の効果や副作用に時刻の違いによる差異が生じる原因の一部を解明することに成功した。また、RNAシーケンス解析の結果、ヒトのRNA上にはADARによって時刻依存的に編集される部位が数万箇所は存在し、様々な遺伝子の発現や機能に影響を及ぼしている可能性も示唆された。今後、このようなADARの活性リズムが、他の薬効関連分子の発現にどのような影響を及ぼしているのかを解明することで、医薬品の効果・副作用の個体差と個体内変動の理解に繋がることが期待される。
すべて 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
J Biochem
巻: 143 号: 5 ページ: 1-4
10.1093/jb/mvab143
Journal of Biological Chemistry
巻: 297 ページ: 100601-100601
10.1016/j.jbc.2021.100601
Biochemical Pharmacology
巻: 185 ページ: 114411-114411
10.1016/j.bcp.2021.114411
Scientific Reports
巻: 10 号: 1 ページ: 13484-13484
10.1038/s41598-020-70321-6
Biological & Pharmaceutical Bulletin
巻: 42 号: 11 ページ: 1921-1925
10.1248/bpb.b19-00546
130007740594
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 519 号: 3 ページ: 613-619
10.1016/j.bbrc.2019.09.021