研究課題/領域番号 |
18H04084
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 珠実 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90589201)
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研究分担者 |
黄田 育宏 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 副室長 (60374716)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
43,680千円 (直接経費: 33,600千円、間接経費: 10,080千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2021年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2020年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2019年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2018年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 瞬き / 脳内ネットワーク / 動的制御 / 自発性瞬目 / 瞳孔拡大 / 自律神経 / 動的ネットワーク / 瞳孔径 / 神経ネットワーク / MRS / DMN / 瞬目 / デフォルトモードネットワーク |
研究実績の概要 |
脳内ネットワークのダイナミックな活動変化に関係して、自発的な身体活動、特に瞬きや瞳孔径がどのように変化するのかを明らかにする研究を行った。 具体的には、前年度に得られた結果から、瞳孔拡大現象が末梢の自律神経の中でも、交感神経ではなく副交感神経系が関与している可能性がでてきたため、それを検証する実験を複数行った。被験者には、3秒間、6秒間、9秒間の3種類の時間長でボタン押しをする課題をランダムな順番で行ってもらい、瞳孔拡大を持続的に引き起こすようにした。そして、両目の瞳孔径を近赤外線カメラを用いて、220Hzのサンプリング周波数で計測を行った。その際に、片側の目にのみ散瞳を引き起こす2種類の点眼薬を用いて、末梢の交感神経系と副交感神経系の経路をそれぞれブロックした条件を設け、その時の瞳孔反応を反対側のコントロール条件と比較した。その結果、末梢の副交感神経系が、素早い瞳孔拡大反応を引き起こすこと、一方、交感神経系は持続的な瞳孔拡大反応に関与していることが明らかとなった。これまで、急速な瞳孔拡大は交感神経系の働きで引き起こされると考えられていたが、本研究から、実は末梢では、副交感神経経路が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 さらに、大脳半球の左右の活動の違いを両目の間での瞳孔反応パターンの違いで検出できるかを明らかにするために空間注意課題を作成し、両目の反応を比較した。その結果、空間注意の左右差に応じた左右の瞳孔径の反応パターンの違いがないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
瞳孔反応はもっとも鋭敏に脳の活動状態を反映して変化する生体指標として用いられているが、その反応を引き起こす詳細な神経機構は明らかになっていない。本研究では、散瞳薬を用いて筋肉の活動をブロックすることで、実は素早い瞳孔拡大反応には末梢の副交感神経経路が関与していることを実証することができた。
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今後の研究の推進方策 |
瞬きや瞳孔といった自発的な身体活動の変化と脳内ネットワークの動的制御の相互作用や、これらの制御をしている神経機序を明らかにするために、末梢の自律神経に電気刺激をくわえるなどの方法により、自律神経の活動を変調させたときに、脳活動や認知・行動がどう変化するかなどを調べる研究計画を新たに追加し、複雑な自律神経系がどのように脳内ネットワークの動的制御と相互作用しているか、その全体像を明らかにしていく。
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