研究課題/領域番号 |
18H04129
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
見延 庄士郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70219707)
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研究分担者 |
重光 雅仁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), 研究員 (20511695)
纐纈 慎也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), 主任研究員 (30421887)
小埜 恒夫 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主幹研究員 (40371786)
佐々木 克徳 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (50604815)
安中 さやか 東北大学, 理学研究科, 教授 (80620393)
相田 真希 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), グループリーダー (90463091)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
43,680千円 (直接経費: 33,600千円、間接経費: 10,080千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2021年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2020年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2019年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2018年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 海洋貧酸素化 / 地球温暖化 / 日本海 / 太平洋 / 海洋生態系 / 海洋溶存酸素 / プランクトン / 底魚 |
研究実績の概要 |
過去の酸素変動についてCMIP5/6の過去実験の解析対象とするアンサンブルを増やすとともに,Detection and Attribution Model Intercomparison Project のデータをいくつかのモデル結果を入手して,その解析を開始した。このモデル相互比較プロジェクトは,気候変動を駆動する温室効果ガス濃度,エアロゾル濃度などを,個別に変化させた数値計算を行うことでその影響を評価するものである。CMIP6モデルを用いた北太平洋のWorld Ocean Database 2018に登録されているプロファイルデータを用いて,全球海洋の亜表層クロロフィルa濃度の広域分布を明らかにした。東シナ海における貧酸素化トレンドのマッピングを行い,従来から存在が確認されていた大陸棚底層に沿って存在する貧酸素トレンドとは別に,長江希釈水下部の密度成層域に広がる貧酸素トレンドが存在することを確認した。塩分分布の細かな変化を起こす現象に注目した解析に協力するとともに,インド洋の塩分・酸素・栄養塩変化について解析をすすめた。これまでに作成した溶存有機物(難分解性と易分解性)およびバクテリアを導入した物質循環モデルのパラメータをチューニングすることにより(主に海洋表層での光分解,難分解性溶存有機物の微生物による分解に係るパラメータ),現在の溶存有機炭素分布を概ね再現できることを確認した。また,複数季節予測モデルの出力を解析して,北太平洋の季節予測の性能を評価した。その結果,予測スキルが低い領域における,観測値と予測のスプレッドは,二つの異なる関係を持つことを明らかにした。一つは,アンサンブルメンバーのスプレッドが大きいことであり,他の一つはアンサンブルメンバーのスプレッドが観測値を捉えていないことであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Detection and Attribution Model Intercomparison Projectのデータは,今後アンサンブル数の増加に伴ってより重要性が増すことが期待され,その解析を行ったことは今後の発展にも有益である。2020年度までに行った表層栄養塩の広域分布に加え,2021年度は亜表層の生物地球化学パラメータの広域分布を明らかにした。日本海浅海域の解析に引き続き,今年度新たに貧酸素化の進行が発見された東シナ海における水産対象種の貧酸素耐性情報の収集も開始しており,おおむね順調に進展している。インド洋における塩分変化と酸素,栄養塩変化について,北太平洋における塩分変化について論文としてまとめているところである。海洋季節予測の論文は2021年度に出版した。数値計算では,これまで構築していたモデルと全く異なる概念を用いたモデルが提案されたため,それが使用できるかどうかを確かめるのと,作成したモデルのパラメータチューニングに想定以上の時間がかかったものの,今後の超長期温暖化実験に有益な情報が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで明らかにしてきた観測データに基づく知見を用いて,数値モデル計算結果の妥当性検証するとともに,その再現された変動を解析する。東シナ海中層における貧酸素化トレンドの発生要因を解析する。日本海沿岸域および東シナ海域における水産対象種の酸素耐性に関する情報を収集する。酸素変動との連動制をより詳細に検討できるように,北太平洋における塩分分布・変化をより高解像で解析を可能にする方法を検討する。CMIPモデル解析では従来行ってきたよりも,酸素変動と他の物理量との関係にも着目した解析を行う。さらにいくつかのモデルおよび実験で提供されている,大規模アンサンブルを活用する。溶存有機物(難分解性と易分解性)およびバクテリアを導入した物質循環モデルの超長期温暖化実験を実施し,その結果を解析する。
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