研究課題/領域番号 |
18H05291
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分J
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
河原林 健一 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (40361159)
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研究分担者 |
垣村 尚徳 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30508180)
小林 佑輔 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (40581591)
吉田 悠一 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (50636967)
Avis David 京都大学, 情報学研究科, 非常勤講師 (90584110)
黒木 祐子 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (50889095)
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研究期間 (年度) |
2018-06-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
193,050千円 (直接経費: 148,500千円、間接経費: 44,550千円)
2022年度: 38,870千円 (直接経費: 29,900千円、間接経費: 8,970千円)
2021年度: 39,130千円 (直接経費: 30,100千円、間接経費: 9,030千円)
2020年度: 40,820千円 (直接経費: 31,400千円、間接経費: 9,420千円)
2019年度: 39,130千円 (直接経費: 30,100千円、間接経費: 9,030千円)
2018年度: 35,100千円 (直接経費: 27,000千円、間接経費: 8,100千円)
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キーワード | グラフアルゴリズム / グラフ理論 / グラフ / 離散数学 / アルゴリズム / 離散最適化 / 組合せ最適化 / 分散計算 / サブモジュラー関数 / 計算理論 |
研究実績の概要 |
1. 離散数学、グラフアルゴリズムにおける構造解析を行うための海外からのPDを雇う予定であったが、それがCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)の影響により研究員を補充することが全くできなかったため、以下の2分野をRAと共同研究者とともに遂行した。 2. オンラインアルゴリズム開発と機械学習への応用、そして、 3.アルゴリズム技術を機械学習への応用、を行う予定である。 この2つは、機械学習分野において、理論分野の応用が活発に行われている研究分野である。 2に関しては、推薦システムの最適化やポートフォリオ選択など、評価指標が不確定な状況で意思決定をしながら逐次的に戦略を改善するための取り組みとして、オンライン最適化やバンディット最適化の枠組みに取り組んだ。これらの成果は、世界的に評価されている研究成果をNeuRIPS、AAAI、AISTATなどで発表してきた。 3に関しては、河原林はすでにグラフ理論的な解析とグラフ構造の知見を利用し、グラフニューラルネットワーク解析において、すでにインパクトのある研究成果を残している(ICLR'21)。これらの論文は、グラフニューラルネットワークの性能と限界に関して大きなインパクトを与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
チューリング賞受賞者Tarjanの平面グラフ、セパレイタなどのアルゴリズム設計から始まり、2000年代になりその高まりはピークを迎えた。そしてこの分野の頂点に立つのがRobertson, Seymourによる「グラフマイナー理論(GM)」である。RobertsonとSeymourは「Graph Minors(GM)」という共通のタイトルを持つ一連の23本の論文で「グラフマイナー理論」を構築した(1986年~2004年)。この理論は、離散数学のみならず、アルゴリズム・理論計算機分野の広域で、最も深遠な結果・理論と評価されてきている。しかしながら、グラフマイナー理論の有向グラフ(辺に向きがついているグラフ)への展開は、長年未解決であった。 この背景のもと、無向グラフのGMを有向グラフに拡張する第一歩として、共同研究者であるKreutzer氏と提案者は、1990年代中盤にReed, Robertson, Seymour, Thomas などの著名な数学者によって予想された「有向グラフの木幅とグリッドマイナーのMin-Max 予想」を2015年に完全解決した(STOC’15)。この解決により、グラフマイナー理論(GM)の6本目の論文まで、有向グラフに拡張に成功したことになる。その後、2020年に「弱構造定理」(SODA’20)を証明した。これによってGM13の結果に関しても、有向グラフに拡張可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
近年の情報通信技術の発展に伴い,従来のアルゴリズムでは想定し得ない状況下で組合せ最適化問題を解く必要が新たに生まれてきた。例えば、近年の機械学習の進展により、必要な情報をデータから推定し、その推定結果を元に意思決定をするために組合せ最適化問題を解くような状況がある。この場合,最適化問題の入力は不確実性や一定程度の誤りを含んでいる。このような状況下でのアルゴリズムの振る舞いや性能に関する研究は、オンライン最適化やバンディット最適化として、機械学習分野で近年活発に研究されてきたが、まだまだ多くの研究課題が残されている。特に、評価指標が不確定な状況で意思決定しながら逐次的に戦略を改善するための取り組みは、現在のデータ科学の要請もあってホットトピックとなっている。これらの分野に対して、離散アルゴリズム的アプローチを行う予定である。
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評価記号 |
事後評価所見 (区分)
A+: 研究領域の設定目的に照らして、期待以上の成果があった
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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